故人様のご法名などを記載する帳面を「過去帖(かこちょう)」と呼びます。ご先祖様の没年月日などが記載されており、日めくりカレンダーのように「日ごとのページ」にご先祖様の情報を書き入れてあり、故人の命日の「日」にお参りができるようになっています。(日めくりではなく、亡くなった順に記載する形もあります)
あたかも家系図のようなもので、そこには会ったことのないご先祖様も記載されています。ご自身のルーツを知ることができる大切なものです。
この記事では過去帖とお位牌の違い、過去帖の種類や役割、またお仏壇しまいなどと一緒に行う「過去帳の処分」について解説いたします。
■過去帖とはなにか
「過去帖(かこちょう)」とは、その家のご先祖様(故人様)の情報が書かれている帳面になります。帳面の為「過去帳」と表記することや、「鬼籍(きせき)」「点鬼簿(てんきぼ)」と呼ぶこともあります。
代々のご先祖様がわかり、自分のルーツを知ることもできます。また今まで脈々とつながってきた命の尊さを目で見て、実感できるものにもなるでしょう。
◇いつはじまったの?
鎌倉時代以降に始まったものと考えられており、江戸時代の檀家制度により広まったとされています。江戸幕府によって、キリスト教が禁止され、寺請制度により、仏教徒としていずれかの寺院の檀家となるということがありました。
寺院は、現代でいう役所のような戸籍を管理する役割も担っていました。また、葬儀も寺院が執り行うようになり、檀家それぞれの戒名、俗名、享年など累代の記録する過去帳が作成され、寺院で保管されました。お寺にあるものと自宅用と、複数存在している場合もあります。
◇なにが書いてあるの?
故人様の戒名(法名)や俗名、没年月日、没年齢などが記されています。記載の方法は様々ですが、後の世代が見てわかるように、続柄などを記載する場合もあります。
一般的には、葬儀の際に、寺院からいただく白木位牌や戒名用紙に記載されている内容を過去帳に追記し保管していく流れとなります。既にご先祖様が法名(戒名)などが記入されている場合は、ご先祖様の書き方に倣って記入していくとよいです。
■お位牌と過去帖との違い
お位牌と過去帖はどちらも故人様の情報が記載されているものですがなにが違うのでしょうか? ここでは<お位牌>・<過去帖>について記載します。
※浄土真宗ではお位牌は祀らず、過去帖または法名軸をお仏壇に用意します。
その他の宗派では主にお位牌を祀っていますが宗派や地域によっては浄土真宗でもお位牌を祀ることがあります。他の宗派でもお位牌の代わりに過去帳を用意することもあります。どちらを用意すべきかは事前に菩提寺へご相談されるとよろしいでしょう。
◇お位牌とは
お位牌とは、故人の戒名や没年月日、俗名、行年などが記された木製の札で、故人の霊を祀るために用いられるお仏具です。故人の霊魂が宿る依代(よりしろ)とされ、ご供養の際に追善供養として手を合わせる対象である「礼拝仏具」の一つです。
◇過去帖とは
過去帖とは、ご先祖様の記録・家系図(系譜)です。そこに魂は宿っていません。
主に、弔い上げ(三十三回忌法要や五十回忌法要など、最後の法要)のタイミングでお位牌から過去帳へ戒名等の情報を書き移します。そうしないと、弔い上げのあとお位牌はお焚き上げといって燃やしてしまうため、書いてある情報が無くなってしまうためです。
つまりお位牌は魂を宿すもの、過去帖は家の系譜を記録する役割のものなのです。
菩提寺がある方は、弔い上げのタイミングや過去帖の手配、古いお位牌の処分方法については事前にご相談しておくと安心です。
※浄土真宗では往生即身成仏(おうじょうそくしんじょうぶつ)の考えがあり、死後すぐに仏様になるとされています。そのため「お位牌という依代」は使用しません。
■過去帖はどのように準備する?
過去帖仏壇・仏具店で購入します。
文字入れについては、基本的にどなたが書いても問題ありませんが、仏具店に依頼する、菩提寺に依頼することもできます。
事前にどこに依頼するか菩提寺にご相談しておくと安心です。一般的に法要の一連として考えられることが多く、記入の費用も含まれている場合があります。
◇過去帖っていくらぐらい?
過去帖には折本タイプ(一枚の紙をじゃばら状に折ったもの)と和綴じタイプ(本やノートのようなもの)の2種類があります。
折本タイプは個人宅用で、和綴じタイプは寺院用とされています。
過去帖の表紙は様々で、唐木(黒檀・紫檀など)のものや、蒔絵が施された漆塗りなどもあります。値段は1,000円台から20,000円以上と幅がありますので、実際に手に取って違いを感じて比較するとよろしいでしょう。
記入の費用は、一霊様につき1,500円~5,500円が相場となります。作成に2週間ほど時間がかかりますので、ご法事の日程から逆算して早めにご依頼するとよろしいでしょう。
◇過去帖の置き場所
過去帖は「過去帖見台」を用意してその上に飾ります。過去帳を開いた状態で読みやすい角度で仏壇や経机に置けるので便利です。過去帳と同じタイミングでデザインやバランスの合ったものを購入するのがおすすめです。
過去帖自体は、供養の対象ではないと考えられるため、置き場所はご本尊よりも下の段、向かって右側に飾ることが多いようです。ご本尊が隠れないようにお飾りします。
■処分するときはどうする? よくある質問のご紹介
過去帖はご先祖様からの記録であり、家系図のように自分のルーツを知ることもできますので代々引き継いでいきたいものです。
しかしながら紙のために傷みがでたり、仏壇じまいなどの理由から処分することや過去帖の買い替えをすることもあります。
◇過去帳の処分方法は?
過去帳の処分には、魂入れをしてないため供養は不要ですが、大切に祀ってきたためお祓いの意味合いで供養が必要というお坊さんもいらっしゃいます。菩提寺がある方はご住職へ供養が必要かどうかご相談されるとよろしいでしょう。
それほど気にしないという方は、記録帳としての役割に感謝の気持ちをもちつつ、最後は廃棄処分しても問題ありません。
またお位牌と一緒のタイミングで処分を検討されることも多いと思います。お位牌の処分に方法を下記に纏めます。
◇お位牌の処分方法は?
過去帖には魂入れをされていないので魂抜きの供養は不要ですが、位牌に関しては、僧侶によって魂が込められていますのでそのまま処分することはできません。処分に際しては魂抜きの供養が必要で、そのあと後焚き上げするのが通常の流れです。
◇魂抜き(閉眼供養)の方法
お位牌の魂抜き(閉眼供養)の方法に関しては、下記の方法があります。
1.菩提寺に依頼する
過去帖、お位牌の処分については、まずは菩提寺(お寺)に相談する事をお勧めします。過去からの経緯や宗派ごとの考え方もそれぞれあると思います。もしお墓があるのなら今後もお世話にはなるわけですから、質問として「こんな場合はどうすれば良いか?」とやんわりと相談しておくとトラブルも回避できて良いと思います。
お寺に魂抜きをお願いするとお布施で3万円~10万円くらいが相場です。そこからお位牌であれば永代供養まで一連におこなってくれるかどうかはお寺ごとに事情が異なるようです。
お寺に出入りのある仏具屋さんや廃棄業者が対応してくれるのが一般的ですがそれなりの追加料金になってしまいます。
2.仏壇屋、仏具店に依頼する
過去帖、お位牌は、買った仏具屋さんにひきとってもらうことができます。ただし買い替えの場合以外は引き受けてもらえないことも多いようです。
相場はかなり幅がありますが、供養は宗教法人しかできないので関連のお寺の相場で料金も変わるようです。通常は供養まで一括してお任せできますし、仏具屋はお位牌を販売するときには開眼供養して魂を込めて送りだすわけですから、逆に引き取りの際もきちんと手順通りに魂を抜く必要な法要を行ってくれます。専門の知識で正しい対応を行なってくれるので心強いです。
近くにあるお店に相談してみても良いと思います。但し商談になったり料金が高かったりすることを想定しておいて下さい。
3.供養の専門業者に依頼する
過去帖、お位牌を専門に引き取ってくれる業者がいます。もちろん供養までセットで一括して面倒をみてくれます。個別の供養を僧侶の派遣まで行って対応してくれるところもあります。但し不心得な業者だと大切な過去帖、お位牌が一般ゴミと一緒に運ばれて廃棄されたり、僧侶による供養を行っていなかったりするので注意が必要です。
信頼できる「位牌の供養とお焚き上げの専門会社」
「さくらサービス」は、礼拝品の供養と処分の専門業者です。東京近郊に訪問引き取りの車が回っているのと、お位牌は全国から郵送による受付も行っていて、自社の供養場に提携先の寺院住職を呼んで丁寧に供養しています。又、大きな仏壇でも訪問して引き取りをしており、ご供養のあとはリサイクルできる部品と廃棄物(事業系一般廃棄物)に分けるところまで委託管理しています。
さくらサービス東京では合同供養が終わった後に、燃やせる供養の品(過去帖、お位牌、遺影、掛け軸、仏像)だけをお焚き上げして魂の供養をしています。
◇供養の際の宗派について
さくらサービスの供養場は、十三仏をご本尊としてどのような宗派の供養品でも対応できるように整えています。
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