仏壇を処分するタイミングで位牌も一緒にと考えるかたが増えています。直接の関係ならまだしも先代から受け継いできたものがいくつもあって、そのまま次世代に渡しても面倒をかけるだけなので自分の代で処分したい、とお考えになるようです。
こうした場合、位牌はどのように破棄すればよいのでしょうか。
例えば燃えるゴミとして処理することは法的にも行政ルール上も問題ありません。ただし宗教の観点から見るとそのような扱いは明らかに問題がありそうです。
今回は、「位牌は廃棄処分してもよいか?」また「どのように処分すれば良いか」について解説します。
目次
■処分するのはどんな時?
位牌は、通常は処分せずに手を合わせる対象として身近な環境に保管し続けるものです。しかし以下のような場合には処分することになります。
四十九日法要で(仮の)白木位牌を(本物の)本位牌に替えますので白木位牌は処分します。
単純に古くなって傷んだから新調する場合、古いものは捨てて新しいものと取り替えます。
故人の位牌を合祀(先祖と一緒にする)したタイミングで個人の位牌は処分します。一般的には三十三回忌か五十回忌で故人の法要を最後として、以降はご先祖様と一緒に弔うことになります。(弔い上げ)
次の世代に供養を引き継いでもらわないと決めたとき。この事例がとても多いです。仏壇と一緒に供養と処分をお願いされるときは「子供たちに面倒をかけられないと考えました」という言葉をよく聞きます。
■お寺に預けるという方法
親から仏壇を引き継いだものの、住宅の事情などで維持が困難となり処分せざる負えないこともあるでしょう。仏壇は魂の宿る位牌の置き場所なので、そこまでこだわりはないものの位牌は何とか供養し続けたいという場合には永代供養といってお寺や霊園に位牌を預けて永年にわたり家族の代わりに供養をお願いすることができます。
ただし永久に位牌が残るわけではなく、他の人と一緒に合祀されるタイミングが事前に決まっていますので相談してみてください。同様にお墓を処分してお骨を永代供養することが最近多くなってきました。
樹木葬などはその例で初めから合祀されるパタ-ンと期間限定で個別葬のあと一定の期間を経て合祀されるパターンといろいろな種類の永代供養がありますので、自分達にあった内容を親族と相談して決められるが良いと思います。
■お位牌の処分のしかた
位牌には魂が入っています。購入された際に「魂入れ」あるいは「開眼供養」「入佛法要」などとも呼ばれますが、お坊さんに読経を上げてもらって魂が入り手を合わせる対象になります。処分するときには魂を抜く儀式を執り行うことになります。「閉眼供養」「遷仏法要」と呼ばれ、お坊さんに魂抜きの法要を行ってもらって参拝の対象からモノに戻ります。
魂抜きは必ず行うとして、その後の処分の方法はいろいろな選択肢があります。魂の入っていたモノを粗末に扱わない方法として、
・寺にお願いして形を残さず焼き上げるお焚き上げ(炎で魂を天に還す供養の儀式)を行うことが通例とされています。きれいさっぱりこころの整理もつくわけです。
・専門業者にお任せという方法もあります。仏壇や位牌の処分の専門業者が魂抜きの供養と処分の両方を代行してくれます。
・壇仏具店が引き取ってくれるサービスを行っています。そのお店で買ったものなら無料でサービスしてくれることもあるそうです。このご時世なので有償のサービスだと思って相談されるのが良いと思います。
■位牌の処分を迷われている皆様へ
位牌は処分すべきタイミングがあって、継続供養か魂を抜いて天に還すかという選択があって、魂が宿っていた位牌をモノに戻せば廃棄する正当な方法もあるということですので、是非早めに自分にあった形と手段を検討されることをお勧めします。
もしアドバイスを他人に求めたとき、いろいろな立場から様々な意見が寄せられると思いますが、お金もかかることですし管理を残すと次の世代が引き継ぐことになります。
ご先祖様や故人への想いもありますが今のご自分や子供たちの生活を優先して考えて決断されることが大切だと思います。
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