ネットで東京の仏壇処分と検索すると実にたくさんの業者が出てきます。仏壇屋さん、遺品回収業者、ゴミ回収業者、仏壇回収専門業者、仏壇買取り業者、ネットで集客する仲介業者などです。
このような業者さんに依頼して処分する方法と、その他に自分で処分するやり方として行政の粗大ゴミ収集係に電話やウエブ予約して廃棄場所に運んで引き取ってもらう方法もあります。
◆処分の方法や依頼先を選定するとき注意すべきことを解説します。
①処分の前に魂を抜かなければいけません。
仏壇の中のご本尊には先祖代々の魂が込められていますのでお坊さんに供養してもらって魂を抜く必要があります。これはお坊さんに依頼するしかありません。仏壇屋さんが行っているわけではありません。
ではなぜ魂を抜いたりするのでしょうか? この疑問には後でお答えします。
魂を抜くときは寺に持っていく必要はなくてお坊さんに供養しに来てもらうことで魂抜きの法要を行っていただけます。
菩提寺が無くても近くのお寺でも相談に乗ってくれますし、ネットで検索すればお坊さんの派遣サービスも最近では良く使われるようになりました。
②供養をしない業者もいます。
仏壇の処分業者は色々な業種から参入していらっしゃいますが、供養をしないで処分だけしますといって持ち帰る業者もいます。ゴミとして回収されるだけの業者さんは避けましょう。
行政の粗大ゴミ収集も供養はしてくれないので、事前に供養を済ませる必要があります。専門の業者だと供養と処分をセットで行ってくれます。
③先に見積りをもらって確認しましょう。
業者の場合、依頼を確定する前に見積りを出してもらいましょう。よくあるのは基本料金のメニューが処分料金と供養料金で分かれているにも関わらず、処分費用だけを提示してあとから供養の料金が請求に乗ってくるパターンです。
不用品の回収業者には不法投棄が問題になるほど非常に悪質な商売をしている会社があって、仏壇も同じように扱われているようです。とても手際が良く親切なのにトラックに積載してから追加の請求を出してくる業者さんもいますのでご注意ください。
④大事なのは仏壇の中身です。
仏壇は家のお寺と言われます。手を合わせて拝む礼拝の対象を安置する場所としての役割です。大切なことはその場所に置かれている礼拝の対象を今後どのように供養するかということを決めておくことです。
よくあるのは仏壇を捨てるので中身も一緒に処分するというパターンです。これは金庫を捨てるので中身の宝石も処分しますと言ってるようなものです。
大事に保管してあった宝石は今後だれの手によってその価値を存続させていくのかが本筋です。ただし位牌や仏像、ご本尊も掛け軸も魂を抜いてしまえば礼拝の対象ではなくなります。事情があってそれらも処分する必要があれば、しかるべき手順を踏めば廃棄処分することもとりわけ問題ではありません。
⑤回収された仏壇は戻ってきません。
親族関係者には仏壇の処分の連絡をしておきましょう。仏壇にお祀りしてある故人を想う気持ちは人それぞれですから、事情を話して処分の連絡をしておくことはとても重要なことです。
⑥仏壇の引き出しをすべて確認しましょう。
仏像、位牌、掛け軸、仏具類だけではなく、利用していた方だけが知っている大事なものが引き出しの奥に隠してあったなんてこともたまにあります。
ご先祖様がお金を守って下さっているという気分もあるのでしょうが、印鑑と通帳が入っていることも普通にあります。
処分の前には引き出しはもちろん内側や裏側、底など確認ください。仏壇は至るところに隠し場所があります。
◆供養はなぜ必要なのか?
●まずはどんな供養を行うのかを説明します。
仏壇は購入するときに魂を入れていますが、その儀式を「御魂入れ」「御性根入れ」「入魂式」「開眼供養」などといいます。
正確にいうと仏壇の中に安置しているご本尊や位牌に魂を入れ込む儀式であり、実はお仏壇ではなく、お仏壇の中に安置されているご本尊や位牌に対して行うものであります。
仏壇を処分する時にはその魂を抜く儀式が行われます。
これも正しくは仏壇の中のご本尊や位牌などの魂が入っている、宿っている対象に対して行われるものなのです。
●では、なぜ仏壇の処分で閉眼供養が必要だと言われるのでしょうか。
これはこの魂を抜くという概念が日本人の「土地や物にも魂が宿る」という昔からの慣習からきているものだからだと思われます。
お墓や仏壇を動かしたり処分すると生活に災いが起こるという言い伝えがありますが、それも縁起ごとを大事にする日本人ならではの慣習です。
閉眼供養しないお墓を工事したり移動したりすることは石材業者も嫌って受けてくれません。なにか良くない事、例えば事故が起こったりするのではないか、という心配があるのだと言います。
●慣習と供養の目的について
きちんと供養して不安も後ろめたさもない状態から新しい生活のスタートが切れることが重要です。
よって故人が大切にしていたもの、入魂した礼拝物周辺のもの、供養したほうが良いと思われるものは全て儀式を行ってしっかり供養するということが慣習として定着してきたのだと思います。
仏壇は礼拝対象の安置場所として大切な役割を果たしてきた重要な設備です。
そんな大役を務めてくれた愛着のある仏壇に魂が宿らないわけがない、というのが自然な感情であり供養を行う大義でしょう。
◆供養の証明書について
●仏壇の供養証明書の発行について
仏壇の廃棄処分に関しては、前段の業者か行政の粗大ゴミ収集に依頼するということになります。確かな業者に依頼すれば、供養も処分もしっかり行ってもらえます。供養をきちんと済ませているかどうかに関しては、供養証明書を発行しているところがほとんどですのでお願いすることで安心できます。ただし別料金になっていることもあって有料でお願いするかどうかは迷うところではあります。家族や親族にも安心できる材料として証明が欲しいという気持ちはあるつつも、お金を払ってまでというところが正直なところです。
供養の証明が有料になる理由の一つはやはりお寺側で発行するものに対して謝礼が必要になっているという部分もあります。宗教法人印を押印する正式な証明書の発行ですから手数料を取られるのは当たり前といえばそうなのですが。
●供養実施の通知書も発行できる?
ただし記録として法要を行った連絡が欲しいという場合には、回収業者が発行する連絡文書がその代替になります。法人印をしっかり押印してもらって法要実施の記録として通知してもらうだけならば手間賃だけなので交渉すれば無料で行ってもらえる可能性もあります。
是非引き取り業者さんにお問い合わせください。
Comments