実家の壁にかかっている祖父の写真など、どのように処分すれば良いのでしょうか。遺影やそのほかの写真についても整理がつかず処分に困ってしまいます。さくらサービス東京が遺影その他の写真の処分の方法についてご提案致します。
遺影写真の処分の仕方はどうすれば良いのか
顔も知らないご先祖様の写真を手元にずっと持っておくのも違和感があります。亡くなった祖父から引き受けたものだけど引っ越しすることになったのでできれば処分したい、というようなご事情の方もいらっしゃるかも知れません。一般のゴミとして捨てるのは気が引けるし結局処分出来ずに押し入れの奥にしまったり。
なんとなくお寺の供養や神社のお祓いをすればいいのかなと思いつつ、そのためだけに大袈裟に供養を行うほどでもないのでいつまで経っても整理できません。
遺影も位牌と同じように供養(魂抜き)が必要なのか
一般論は有りませんが、下記の様に遺影写真にも魂がこもっているという考え方をしています。
仏壇を例に説明しますと、仏壇に手を合わせているのは実はご本尊(仏像)に対してです。そこに仏様になった故人の位牌を安置してお祀りしています。仏壇はそれらの供養の対象を納める箱です。箱は礼拝対象ではありません。しかし仏壇を処分する時に、ただの箱だからといって粗大ゴミで廃棄したりしません。
そこには日本人の「魂は土地やモノにも宿っている」という感性があります。
先祖代々、祈りをささげてきた大切なもの(箱)であり、それには魂が宿り災いを防いでくれていると信じられていますし、お墓や仏壇を勝手に移動すると家に良くないことが起こるという言い伝えが残っていたりします。そのため仏壇に対しても僧侶が読教して供養を行い魂を入れたり抜いたりして落ち着かせる手続きが行われているのです。
遺影も仏壇と同じことが言えます。ただの写真ではなく故人の顔を見ながら手を合わせて魂が入っていると感じているのです。
つまり位牌と同じ様に礼拝の対象となっているので遺影も供養を行い魂を抜いてからお焚き上げ(※焼却して魂を天に還す儀式)の供養をします。
昔からの慣習で、それが一番不安なく心の区切りをつけられるやり方だということなのでしょう。
スナップ写真の処分はどうすれば良いのか
仏壇の近くに置いてあって生前の故人を偲ばせてくれる顔写真が遺影で、それ以外の黒い額に入っていない自由な取り方で残したものがスナップ写真というイメージをお持ちではないでしょうか。
実は遺影写真は仏教とは関係なく、葬儀の際に会葬者が故人を偲ぶための祭壇の飾りとして始まったそうです。写真は遺族にとっては故人への想いを直接寄せやすいものですので手を合わせる対象として仏具の一種のような扱い方をされてきました。
宗教的な意味合いは無いものですが、魂がこもっていると感じやすい対象ということになります。
ではスナップ写真も同じように魂がこもっているものだと考えて供養すべきものなのでしょうか。
例えばたくさんのスナップ写真の供養の依頼が、お焚き上げをしてくれる業者や寺院に届けられています。現実として写真や人形その他日常的なものであっても供養したいと思う人が沢山いるという事です。
正解は無いのですが、残された遺族や子孫がどのような気持ちでそれらの遺品と向き合うかということなのだと思います。
スナップ写真に手を合わせて感謝の気持ちでお祈りをしているのであれば当然魂が宿っていると「感じるべき」でしょうし、そこまでではないにしろ故人との繋がりが感じられてきちんと供養しないと申し訳ないという気持ちが少しでもあれば供養して処分したほうが気持ちがスッキリします。
ただ撮っただけの写真なので心を切り替えて捨ててしまおう、ということであればそれほど神経質にならなくても良いと思います。
遺影写真の供養はだれにお願いするのか
遺影写真の供養は行ったほうが良いと思いますが、だれにどのように依頼すればいいのかを解説します。
主に以下のパターンがあります。
①神社や寺院に依頼して供養処分
②お坊さん派遣サービスを利用して自宅で供養
③郵送サービスで手軽に供養処分を任せる
①神社や寺院に依頼して供養処分
供養の依頼先は神社やお寺です。仏壇や位牌と一緒に処分するのであればお坊さんに閉眼供養をしてもらうことになります。お坊さんに直接依頼する場合、直接お寺に連絡します。
しかし檀家さんで菩提寺に相談できる方は良いのですが、今はお墓がある実家から離れて住んでいる方がほとんどでお寺も遠くなっているでしょうし、ご両親までは縁があったけど今はご住職も代変わりして相談もしにくいといった声も良く聞きます。
お寺に依頼となると構えてしまいそうですが昔ほどしきたり重視ではなく、むしろ敷居は低くなり柔軟に対応してくれるお寺が増えています。
核家族化と都市集中化が進み少子化で跡取りもいなくてお墓じまいも増加していますが、そんなご時世でお寺も檀家さんだけにしか供養はしません、という姿勢では(全部ではないですが)なくなってきました。そもそも檀家さんが離れるとお寺の経営が成り立たないからで、檀家さん以外でも面倒見たいお寺が多いはずです。
気軽に訪問が可能な近場のお寺に相談してみてください。
ただし頑固に檀家さん以外お断りのお寺も未だありますし、相談したら逆に檀家さんに勧誘されることも有るそうです。
そのほか費用の問題です。謝礼としてお布施という支払いが発生します。とてもざっくりですが遺影1点の相場は5千円から3万円くらいでしょうか。お寺や地域、宗派によっても全然違います。
お坊さんにお布施の金額を聞いても「お気持ちで結構です」と言われます。これは正しくはお坊さんへの謝礼ではなくご本尊に捧げる名目のモノなので決まった料金がないためです。金額を知りたいときは「お布施は皆さんどれくらい包まれていますか?」と相場として伺ってください。これなら答えてくれます。
②お坊さん派遣サービスを利用して自宅で供養
「お坊さん派遣サービス」という特定のお坊さんではなく派遣登録のお坊さんが来ていただけるサービスがあります。ネットで検索すると沢山の派遣サービスの事業所(会社)が出てきます。
お布施も明確にサービス料金として一律に決められているうえに、御膳料やお車代といった不透明な金銭は一切気にする必要がありません。一番のメリットは檀家にならなくて良いので、法要ごとのお寺やお坊さんとの関係に気を使わないということです。
派遣の場合は3~4万円くらいの料金が相場です。
③郵送サービスで手軽に任せる
遺影や思い出のモノを小型のものでも郵送で送ると供養処分してくれるサービスがあります。写真1枚から送ることができるので小物の供養には適しています。
これなら大袈裟にお坊さんによる法要を執り行うことなく供養と処分が比較的安価に行えます。荷物の大きさごとに価格が決められていて送料別で小さいものだと3~5千円ほどでお焚き上げ供養まで一括して行うパッケージになっています。
お焚き上げ(おたきあげ)というのは燃やして魂を天に還す儀式です。昔は都会のお寺でも焼却することができましたが、今はダイオキシンによる環境汚染の問題や近所への迷惑もあって法律と条令によって野焼き(焚火)をすることができなくなりました。なのでお焚き上げサービスは、地方の大きなお寺に持ち込んで行っているケースが多いようです。
専門業者に依頼した場合の費用の相場は、遺影一枚あたり3,000円~です。
遺影、位牌、掛け軸、仏像などのお焚き上げの郵送受付サービスはコチラ
まとめ
以上、遺影写真を処分する方法について解説しました。
写真などのアナログなデータはスキャンしてデータで保存することもできますので、これも心の保険になるかも知れません。
量販店やスーパーの中に出店しているカメラ屋さん、フォトショップ、写真スタジオなどで写真のデーター化サービスをおこなっているので相談してみてください。
手を合わせて祈る心は生きている人の胸の中にあり、生きている人の側が故人の魂をどう感じてどう受け止めているかが重要です。
魂は想い出であり絆であり拠り所です。
お坊さんや宗教家の言われることはいろいろ有りますが、故人や先祖と向き合いつつも、生きている側が今後どの様に生きていくことが良いのかを優先して考えることが大切だと思います。
大きな仏壇で居住環境が悪化するなら位牌だけにしようとか、先祖の額の写真はデータにしてアナログな写真は処分してしまおうとか、お墓は遠いから改葬しようとか、自分や子供たちの生活にとってより良いことがスタンダードになり新たな慣習となって定着していく、これが自然なのだと思います。
遺影や写真も処分に関しても、供養しなければいけないではなく、すべて供養する必要もないし、事情があればすべてしないのも有り、ご先祖様への感謝を忘れず受け継がれる自分や子供達にとって良いことなのかどうかを考え判断頂ければと思います。
重ねて、遺影の処分はトラブル予防のため親戚には事前に相談するようにしましょう。
Comments