祭祀財産とは?仏壇・位牌の祭祀承継者と相続・処分方法を解説
更新日:9月10日
相続では、預貯金や不動産だけでなく、故人が大切にしていた仏壇・位牌・仏具・墓などを誰が引き継ぐのかという問題が生じることがあります。
特に、実家を相続したものの、「仏壇を置く場所がない」「位牌を引き継ぐ人がいない」「実家を売却するので仏壇を整理したい」「相続人のうち誰が仏壇や墓を引き継ぐのか分からない」といったケースでは、一般的な遺産相続とは別に、祭祀財産と祭祀承継について考える必要があります。
この記事では、祭祀財産・祭祀承継者の基本から、仏壇や位牌を維持できない場合の供養・整理方法まで解説します。

■ 目次 ■
相続では、預貯金や不動産だけでなく、故人が大切にしていた仏壇・位牌・仏具・墓などを誰が引き継ぐのかという問題が生じることがあります。
特に、実家を相続したものの、「仏壇を置く場所がない」「位牌を引き継ぐ人がいない」「実家を売却するので仏壇を整理したい」「相続人のうち誰が仏壇や墓を引き継ぐのか分からない」といったケースでは、一般的な遺産相続とは別に、祭祀財産と祭祀承継について考える必要があります。
この記事では、祭祀財産・祭祀承継者の基本から、仏壇や位牌を維持できない場合の供養・整理方法まで解説します。
祭祀財産とは?
民法897条では、系譜・祭具・墳墓について、通常の相続とは異なる承継の仕組みを定めています。
一般に、これら祖先の祭祀に関するものを「祭祀財産」と呼びます。
仏壇や位牌などは、祭具として祭祀財産に含まれると考えられるものです。
預貯金や不動産のように、相続人が法定相続分に応じて分割する通常の相続財産とは性質が異なります。
祭祀財産には何が含まれる?
祭祀財産は、大きく「系譜」「祭具」「墳墓」に分けて考えられます。
系譜
家系図など、祖先から子孫へのつながりを示すものです。
過去帖(過去帳)については宗教上の役割もありますが、故人や先祖に関する記録として代々受け継がれている場合があります。

祭具
祖先の祭祀や礼拝に使用するものです。
代表的なものとして、仏壇、位牌、仏具などがあります。
神道では神棚や神具などが関係する場合もあります。

墳墓
墓石や墓碑など、遺体や遺骨を葬るためのものです。
このように、祭祀財産は単なる家財ではなく、祖先の祭祀と密接に関係するものとして扱われます。

仏壇や位牌は遺産分割の対象になる?
仏壇や位牌などの祭祀財産は、通常の相続財産とは異なる仕組みで承継されます。
そのため、「相続人が3人いるので仏壇も3人で共有する」「仏壇の価値を計算して法定相続分に入れる」といった通常の遺産分割と同じ考え方を、そのまま当てはめるものではありません。
税務上についても、国税庁は、日常礼拝に使用している墓地・墓石・仏壇・仏具・神を祭る道具などを、原則として相続税がかからない財産として案内しています。
ただし、骨董的価値があるなど投資対象となるものや、商品として所有しているものについては別の扱いになります。
祭祀承継者とは?
祭祀財産を承継する人は、一般に祭祀承継者と呼ばれます。
民法897条では、系譜・祭具・墳墓について、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると規定しています。
ただし、被相続人が祖先の祭祀を主宰すべき者を指定している場合には、その指定された人が承継します。
また、被相続人による指定がなく、慣習も明らかでない場合には、家庭裁判所が承継すべき者を定めます。
長男が必ず祭祀承継者になるわけではありません
「仏壇や墓は長男が継ぐもの」と考えられてきた家庭もあります。
しかし、長男だから法律上当然に祭祀承継者になるという規定ではありません。
現在では、家族構成や居住地、住宅事情なども大きく変化しています。
娘だけの家庭、子どもが遠方に住んでいる家庭、親族に承継を希望する人がいないケースなども珍しくありません。
実際の仏壇整理では女性からの相談が約8割
さくらサービス東京に仏壇の供養・処分についてご相談いただく方の約8割は女性です。
実際のご相談では、女性自身が祭祀を承継しているケースだけでなく、祭祀承継者の妻や娘が、家族を代表して仏壇や位牌の整理について相談されるケースも多くあります。
かつては「仏壇や墓は長男が継ぐ」という考え方も広く見られましたが、現在では少子化や核家族化、住環境の変化、宗教や供養に対する価値観の変化などにより、従来と同じ形で仏壇や位牌を次世代へ引き継ぐことが難しい家庭も増えています。
その結果、祭祀を誰が承継するかという問題だけでなく、「実際に誰が仏壇や位牌を管理し、将来どのように整理するのか」という現実的な問題も生じています。
さくらサービス東京では、こうしたご家族からの相談を通じて、祭祀承継が法律上の問題だけではなく、家族構成や住環境、世代間の価値観とも深く関係する問題であることを実感しています。
祭祀承継者と相続人は同じとは限らない
ここは相続案件では特に重要です。
通常の財産を相続する人と、祭祀財産を承継する人は、必ずしも同じ考え方で決まるわけではありません。
祭祀財産について民法897条が通常の相続とは別の規定を置いているためです。
したがって、「誰が遺産を相続するか」と「誰が仏壇・位牌・墓などを承継するか」は分けて確認する必要があります。
個別の相続関係や祭祀承継について判断が難しい場合には、司法書士・弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
祭祀承継者が仏壇や位牌を維持できない場合は?
祭祀承継者が決まっても、現実には従来の仏壇や位牌をそのまま維持できないことがあります。
たとえば、
実家を売却する
遠方に住んでいる
マンションなどで大型仏壇を置けない
高齢者施設へ入居する
仏壇を小型化したい
次の世代に仏壇を引き継ぐ予定がない
といったケースです。
ここでは、「誰が祭祀財産を承継するか」という法律上の問題と、「承継した仏壇・位牌を今後どうするか」という実務上の問題を分けて考えることが重要です。
引き継げない仏壇・位牌を整理する方法
仏壇や位牌を今後維持できない場合には、いくつかの方法があります。
1.菩提寺へ相談する
菩提寺がある場合は、まず寺院へ相談する方法があります。
宗派や寺院によって仏壇・位牌の扱いに対する考え方や対応方法が異なるため、長くお付き合いのある寺院があれば確認してみるとよいでしょう。
2.仏壇を小型化して祭祀を続ける
大型の仏壇を維持することが難しくても、小型の仏壇へ買い替え、ご本尊や位牌を移して祭祀を続ける方法があります。
「仏壇そのものは維持できないが、今後も手を合わせる場所を残したい」という場合の選択肢です。
3.供養を行ったうえで仏壇・位牌を整理する
仏壇や位牌を今後引き継がない場合には、寺院や供養に対応する専門事業者へ相談する方法があります。
宗派やご家族の考え方を確認しながら、納得できる方法を選ぶことが大切です。
相続した空き家に仏壇・位牌が残っている場合
相続した実家を売却する場合、家具・家電などの家財整理と同時に、仏壇・位牌の問題が発生することがあります。
特に仏壇は大型で、自分で搬出することが難しい場合があります。
また、位牌やご本尊、過去帳、遺影などが仏壇の中に残っているケースもあります。
そのため、相続した住宅を売却・明け渡しする場合には、できるだけ早い段階で仏壇・位牌などの有無を確認しておくことをおすすめします。
このテーマについては、別記事で「相続した空き家に仏壇・位牌が残った場合の実務」として詳しく解説する予定です。
司法書士など士業が相続案件で相談を受けるケース
相続登記や遺産承継、相続した不動産の整理を進める過程で、依頼者から、
「実家の仏壇をどうしたらよいでしょうか」
「位牌を引き取る親族がいません」
「不動産を売却する前に仏壇を整理したい」
と相談されることがあります。
このようなケースでは、祭祀承継に関する法律上の整理と、実際の仏壇・位牌の供養・搬出・処分という実務を分けて考えると整理しやすくなります。
さくらサービス東京では、このうち仏壇・位牌の供養と整理に関する実務部分について、司法書士をはじめとする士業の方からのご相談にも対応しています。
司法書士・士業からの仏壇・位牌の供養依頼にも対応しています
さくらサービス東京では、相続や空き家整理などで残された仏壇・位牌について、司法書士など士業の方からのご依頼にも対応しています。
仏壇は、提携寺院の僧侶による供養を行ったうえで適切に処分しています。
位牌についても、提携寺院の僧侶による閉眼供養を行ったうえでお焚き上げしています。
司法書士事務所から位牌を直接郵送していただくケースや、相続した住宅に残された仏壇の出張引き取りについてもご相談いただけます。
供養の様子は写真で記録しており、実際に供養を行ったことをご確認いただける仕組みを整えています。
実際の仏壇・位牌の供養をご覧いただけます
さくらサービス東京では、実際に行った仏壇・位牌の供養の様子を写真で記録しています。

まとめ|祭祀承継と仏壇・位牌の整理は分けて考える
仏壇や位牌などの祭祀財産は、預貯金や不動産などの通常の相続財産とは異なる仕組みで承継されます。
民法897条では、系譜・祭具・墳墓について祭祀を主宰すべき者が承継する仕組みを定めています。
一方、祭祀財産を承継する人が決まっても、住宅事情や家族構成、実家の売却などによって、従来の仏壇や位牌を維持できない場合があります。
そのため、「誰が祭祀財産を承継するのか」と、「承継した仏壇・位牌を今後どのように供養・整理するのか」を分けて考えることが大切です。
相続関係や祭祀承継について法的な判断が必要な場合は司法書士・弁護士などの専門家へ、仏壇・位牌の実際の供養や整理については寺院や専門事業者へ相談し、それぞれの役割を分けて進めるとよいでしょう。
さくらサービス東京では、相続や空き家整理などで残された仏壇・位牌について、司法書士をはじめとする士業の方からのご相談・ご依頼にも対応しています。
仏壇は提携寺院の僧侶による供養を行ったうえで適切に処分し、位牌は閉眼供養を行ったうえでお焚き上げしています。






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