閉眼供養のお布施相場はいくら？金額の目安と失敗しないための全知識
- Shinji Iwata
- 11月1日
- 読了時間: 10分
墓じまいや仏壇の整理を考える際に耳にする「閉眼供養」。故人やご先祖様への感謝を示す大切な儀式ですが、頻繁に行うものではないため、お布施の相場やマナーについて不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、閉眼供養のお布施に関する金額の目安から、失礼にあたらない準備の仕方、当日の流れまで、分かりやすく解説します。この記事を読めば、安心して閉眼供養の準備を進められるようになります。
閉眼供養とは？まず知っておきたい基本
閉眼供養について考える最初のステップとして、その意味や目的、必要となる場面について理解を深めましょう。基本的な知識を持つことで、その後の準備をスムーズに進めることができます。
閉眼供養は故人の魂を抜くための儀式
閉眼供養（へいがんくよう）とは、お墓や仏壇、位牌などに宿っている故人やご先祖様の魂を抜くための仏教的な儀式です。「魂抜き」や「性根抜き」と呼ばれることもあります。
新たにお墓を建てた際には、ただの石であった墓石に魂を込める「開眼供養（かいげんくよう）」が行われます。閉眼供養は、その逆で、魂が宿ったものを一度「ただの物」に戻すための儀式と考えると分かりやすいでしょう。これにより、安心して墓石の移動や処分ができるようになります。
閉眼供養が必要になる主なタイミング
閉眼供養は、主に以下のようなタイミングで必要とされます。
墓じまいをする時:お墓の継承者がいない、お墓が遠方で管理できないなどの理由でお墓を撤去する際に行います。
お墓を別の場所に移す（改葬する）時:現在のお墓からご遺骨を取り出し、新しいお墓に移す前に行われます。
お墓をリフォームする時:墓石の修理や戒名の追加彫刻などで、墓石そのものに触れる工事を行う前に実施します。
仏壇を処分・買い替えする時:古い仏壇から魂を抜き、新しい仏壇に魂を移すため、あるいは処分するために行います。
浄土真宗では閉眼供養は不要？
多くの宗派で閉眼供養は重要な儀式とされていますが、浄土真宗では考え方が異なります。浄土真宗では、亡くなった方の魂はすぐに極楽浄土へ行くとされているため、お墓や仏壇に魂が宿るという概念がありません。
そのため、厳密な意味での閉眼供養は行われません。その代わりに「遷座法要（せんざほうよう）」や「遷仏法要（せんぶつほうよう）」と呼ばれる儀式を執り行い、ご本尊に移動していただくという考え方をします。名称は異なりますが、僧侶に読経していただくという点では、他の宗派の閉眼供養と似た儀式と言えるでしょう。
閉眼供養のお布施の相場は？
閉眼供養を依頼するにあたり、最も気になるのがお布施の金額ではないでしょうか。ここでは、お布施の相場や、その他に必要となる可能性のある費用について解説します。
費用の種類 | 金額の目安 | 概要 |
お布施 | 30,000円～100,000円 | 読経や儀式に対する僧侶への感謝の気持ち。 |
御車代 | 5,000円～10,000円 | 僧侶にお寺以外の場所（霊園など）へ出向いてもらう際の交通費。 |
御膳料 | 5,000円～10,000円 | 儀式後の会食に僧侶が参加されない場合に、食事代としてお渡しするもの。 |
離檀料 | 50,000円～200,000円 | 墓じまいに伴い、そのお寺の檀家をやめる場合に必要となることがある。 |
お布施の金額目安は3万円～10万円
閉眼供養のお布施の全国的な相場は、3万円～10万円程度とされています。ただし、この金額はあくまで目安です。お寺とのこれまでの付き合いの深さや、地域によって金額は変動します。
お布施は、読経や儀式を執り行ってくださる僧侶への感謝の気持ちを表すものですので、決まった料金があるわけではありません。もし金額に不安がある場合は、お寺に直接「皆様はどのくらいお包みされていますか」と尋ねても失礼にはあたりません。
お布施以外に必要な「御車代」と「御膳料」
閉眼供養の際には、お布施とは別に「御車代」や「御膳料」をお渡しするのがマナーです。
御車代は、僧侶にお寺からお墓のある霊園など、指定の場所までお越しいただくための交通費です。相場は5,000円～1万円程度ですが、遠方の場合は実費に近い金額をお包みすると丁寧です。
御膳料は、閉眼供養の後に行う会食に僧侶が参加されない場合に、食事の代わりとしてお渡しするものです。こちらも相場は5,000円～1万円程度[中優5] です。僧侶が会食に参加される場合は、御膳料は不要です。
離檀する場合は「離檀料」も考慮する
墓じまいを機に、これまでお世話になっていたお寺の檀家をやめる場合は、「離檀料（りだんりょう）」が必要になることがあります。これは、これまでの感謝の気持ちを示すためにお渡しするお布施の一種です。
離檀料の金額に決まりはありませんが、一般的な相場は5万円～20万円程度[中優6] とされています。これまでのお寺との関係性によって大きく異なるため、事前に住職とよく相談することが大切です。
失礼にあたらないお布施の準備と渡し方
お布施は金額だけでなく、準備の仕方や渡し方にもマナーがあります。感謝の気持ちがきちんと伝わるよう、基本的な作法を覚えておきましょう。
お布施袋の選び方と書き方
お布施は、奉書紙（ほうしょがみ）で包むのが最も丁寧な方法ですが、白無地の封筒でも問題ありません。郵便番号欄のない、真っ白なものを選びましょう。
表書きは、水引の上の段中央に「御布施」または「お布施」と濃い墨の筆ペンなどで書きます。下の段には、自分の姓名をフルネームで記載します。裏面には、住所と包んだ金額を記入しておくと、お寺側が管理しやすくなります。金額は「金壱萬円也」のように旧字体の漢数字で書くとより丁寧です。
お金の入れ方と包み方のマナー
お布施に入れるお札は、新札を用意するのが望ましいとされています。香典とは異なり、不幸を予期していたわけではないため、きれいなお札を用意することで感謝の気持ちを表します。
お札を封筒に入れる際は、お札の肖像画が描かれている面が、封筒の表側の上に来るように揃えて入れます。これにより、受け取った方が封筒を開けたときに、すぐにお札の顔が見えるようになります。
お布施を渡すタイミングと言葉遣い
お布施を渡すタイミングは、儀式が始まる前の挨拶の時か、儀式が終わった後にお礼を述べる時が一般的です。どちらのタイミングでも失礼にはあたりません。
お布施を直接手渡しするのはマナー違反とされています。必ず袱紗（ふくさ）に包んで持参し、渡す直前に袱紗から取り出します。そして、「切手盆」という小さなお盆に乗せてお渡しするのが最も丁寧な方法です。切手盆がない場合は、畳んだ袱紗の上に乗せて差し出します。
渡す際は、「本日はよろしくお願いいたします」や「本日は心のこもったお勤めをいただき、ありがとうございました。どうぞお納めください」といった言葉を添えましょう。
閉眼供養の準備から当日までの流れ
閉眼供養を滞りなく進めるためには、事前の準備が重要です。ここでは、準備段階から当日の儀式終了までの一般的な流れを解説します。
【準備編】菩提寺への連絡と日程調整
閉眼供養を行うことが決まったら、まず初めに菩提寺（お付き合いのあるお寺）に連絡し、その旨を伝えて相談します。遅くとも、希望日の2週間前までには連絡しましょう。
お盆やお彼岸の時期は、お寺にとって繁忙期にあたるため、避けた方が日程調整をスムーズに進められます。僧侶の都合を確認した上で、閉眼供養の日時を決定します。墓じまいを行う場合は、石材店にも連絡し、墓石の撤去工事の日程も併せて調整しておきましょう。
【準備編】参列者への連絡と服装の案内
閉眼供養は、家族やごく親しい親族のみで行うのが一般的です。日程が決まったら、速やかに参列をお願いしたい方へ連絡をします。その際、日時と場所だけでなく、服装は平服で良い旨も伝えておくと、相手が服装に悩まずに済みます。
また、儀式の後に会食を予定している場合は、その旨も伝えて出欠を確認しておきましょう。
【当日編】お墓の掃除とお供え
閉眼供養の当日は、儀式が始まる前に、感謝の気持ちを込めてお墓の掃除をします。墓石の汚れを落とし、周りの雑草を抜き、きれいな状態にしておきましょう。
掃除が終わったら、お供え物をします。お供えの基本は「五供（ごくう）」と呼ばれ、お花、お香（線香）、灯燭（ろうそく）、浄水（きれいな水）、飲食（おんじき、故人が好きだった食べ物やお菓子など）の5つです。
【当日編】読経と焼香、そして会食
準備が整い、僧侶が到着したら閉眼供養の儀式が始まります。僧侶による読経が行われる間、参列者は手を合わせて故人を偲びます。その後、僧侶の案内に従って焼香を行います。一連の儀式にかかる時間は、30分程度が一般的です。
儀式が終わったら、お布施をお渡しします。会食を設けている場合は、場所を移して故人の思い出などを語り合いながら食事をします。
閉眼供養の服装と持ち物
閉眼供養に参列する際の服装や、事前に準備しておくべき持ち物について確認しておきましょう。
服装は喪服ではなく平服で
閉眼供養は、親族のみで行う内輪の儀式であることが多いため、喪服を着用する必要はありません。ただし、普段着のようなカジュアルすぎる服装は避け、「平服（へいふく）」と呼ばれる、落ち着いた色合いの服装を選びます。
| 男性の服装例 | 女性の服装例 |
服装 | ダークスーツ（黒、紺、グレーなど） | ダークカラーのワンピース、アンサンブル、スーツ |
シャツ | 白無地のワイシャツ | 派手でないブラウス |
靴 | 黒の革靴 | 黒のパンプス（ヒールは低めのもの） |
その他 | 黒無地の靴下、派手でないネクタイ | 黒のストッキング、華美なアクセサリーは避ける |
必要な持ち物リスト
閉眼供養当日に慌てないよう、必要な持ち物は事前にリストアップして準備しておくと安心です。
お布施:袱紗に包んで持参します。御車代や御膳料も用意しておきましょう。
数珠:仏式の儀式には欠かせません。自分の宗派のものを持参します。
お供え物:五供（花、線香、ろうそく、水、食べ物）を準備します。
お墓の掃除道具:雑巾、スポンジ、バケツなどを持参すると便利です。
各種許可証:改葬（お墓の引っ越し）を行う場合は、「改葬許可証」などの書類が必要になります。
閉眼供養後のご遺骨の供養方法
閉眼供養を終え、お墓から取り出したご遺骨は、その後どのように供養すればよいのでしょうか。ここでは、主な供養方法の選択肢をご紹介します。
新しいお墓に移す（改葬）
現在のお墓が遠方にあるなどの理由で、自宅から近い場所にお墓を新しく建て、そこにご遺骨を移す方法です。これを「改葬」と呼びます。新しいお墓にご遺骨を納める際には、閉眼供養とは逆に、墓石に魂を入れるための「開眼供養」を執り行います。
永代供養で管理をお任せする
お墓の継承者がいない方に選ばれているのが、永代供養です。これは、ご遺族に代わって、お寺や霊園がご遺骨を永続的に管理・供養してくれる方法です。合祀墓や納骨堂、樹木葬など、さまざまなタイプがあります。
散骨や手元供養という選択肢
近年では、より多様な供養の形が選ばれるようになっています。「散骨」は、ご遺骨を粉末状にして、海や山などの自然に還す方法です。また、「手元供養」は、ご遺骨の一部を小さな骨壺やアクセサリーなどに納め、自宅で保管したり身に着けたりして、故人を身近に感じながら供養する方法です。
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まとめ
閉眼供養は、ご先祖様への感謝を伝え、次の供養のステップへと進むための大切な儀式です。お布施の相場は3万円から10万円が目安ですが、大切なのは金額だけでなく、マナーを守り、心を込めて準備することです。
この記事で解説したお布施の相場や準備、当日の流れを参考にして、滞りなく閉眼供養を執り行ってください。事前の準備をしっかりと行うことが、不安の解消につながります。
閉眼供養について不安なことやわからないことがあれば、専門家に相談するのもひとつの方法です。「さくらサービス東京」では、閉眼供養に関する疑問やお悩みに丁寧にお応えし、安心して供養を行えるようサポートしています。
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