遺品整理で捨ててはいけないものは?後悔しないための重要項目と注意点を解説
- Shinji Iwata

- 10月6日
- 読了時間: 13分
更新日:10月8日
故人様との突然のお別れの後、悲しむ間もなくさまざまな手続きに追われ、心身ともにお疲れのことと存じます。少し落ち着いた頃に考え始めるのが「遺品整理」です。しかし、どこから手をつけて良いのか、そして何より「誤って大切なものを捨ててしまわないか」という不安は大きいものでしょう。この記事では、遺品整理で後悔しないために、捨ててはいけないものの具体的な項目から、判断に迷った際の対処法、スムーズな進め方までを丁寧に解説します。
遺品整理で捨ててはいけないものとは?
遺品整理で捨ててはいけないものには、大きく分けて「財産的価値があるもの」「法的な手続きに必要なもの」「思い出の品」の3つのカテゴリーが存在します。
これらを誤って処分してしまうと、金銭的な損失だけでなく、法的なトラブルや親族間の揉め事の原因にもなりかねません。まずは、どのようなものが該当するのか、全体像を把握することから始めましょう。
まずは貴重品・財産関係の確認から
最も注意すべきは、現金や預貯金通帳、有価証券、不動産の権利書といった直接的な財産です。これらは相続の対象となるため、勝手に処分することはできません。故人がどこに保管していたか分からないケースも多いため、タンスの引き出しや仏壇、本の間など、あらゆる場所を丁寧に確認する必要があります。貴金属や骨董品なども、専門家でなければ価値の判断が難しいため、すぐに処分せず専門の鑑定士に査定を依頼することをおすすめします。
個人情報が含まれる書類
年金手帳や健康保険証、パスポートなどの身分証明書は、死亡後の各種手続きで必要になる場面が多くあります。また、公共料金の請求書やローンの明細書なども、契約状況の確認や解約手続きに必要となるため、すぐに捨てずに一定期間保管しておくことが賢明です。これらの書類は故人の個人情報が詰まっているため、手続き完了後に処分する際もシュレッダーにかけるなど、取り扱いには十分注意してください。
デジタル遺品の取り扱い
近年、ますます重要になっているのが、パソコンやスマートフォン本体、そしてその中に保存されているデータです。いわゆる「デジタル遺品」と呼ばれるこれらの中には、ネット銀行の口座情報やSNSアカウント、有料サービスの契約情報などが含まれていることがあります。パスワードが分からずログインできない場合でも、安易に初期化したり処分したりせず、専門業者に相談することを検討しましょう。
思い出の品は慎重に判断
写真や手紙、日記など、故人や家族にとって思い出深い品は、金銭的価値では測れない大切な遺品です。これらを整理する際は、自分一人の判断で進めるのではなく、他の親族にも声をかけ、相談しながら進めることがトラブルを避ける鍵となります。すぐに要不要の判断がつかないものは、「保留ボックス」のような箱を用意して一時的に保管し、時間をかけて気持ちの整理がついてから改めて見返すことをお勧めします。
【関連記事】遺品整理で写真やアルバムを捨てる方法
なぜ勝手に捨ててはいけないのか?3つの理由
遺品整理において「勝手に捨てる」という行為は、多くのリスクを伴います。故人の持ち物であったとしても、その所有権は相続人に移転するため、独断での処分は禁物です。ここでは、その主な理由を3つの観点から解説します。
相続トラブルに発展する可能性
故人の遺品は、法的に「相続財産」と見なされます。現金や不動産はもちろん、価値のある骨董品や貴金属なども含まれます。相続人が複数いる場合、一人の判断で遺品を処分してしまうと、他の相続人の権利を侵害することになり、「欲しかった遺品が勝手に処分された」といった親族間の深刻なトラブルに発展する可能性があります。事前に遺言書の有無を確認し、相続人全員で話し合いながら進めることが不可欠です。
各種手続きに必要となる重要書類
故人が亡くなった後は、年金や保険、不動産の名義変更、公共サービスの解約など、さまざまな手続きが必要になります。その際に、故人の身分証明書や印鑑、各種契約書などが求められる場面が多々あります。もし、これらの重要書類を誤って捨ててしまうと、手続きが滞ってしまったり、再発行に余計な手間と費用がかかったりする事態になりかねません。手続きがすべて完了するまでは、関連する書類は大切に保管しておきましょう。
故人や他の遺族との大切な思い出
遺品は、単なる「モノ」ではありません。それは故人が生きてきた証であり、遺された家族にとっては故人を偲ぶための大切な「思い出の品」です。自分にとっては不要に思えるものでも、他の兄弟や親族にとってはかけがえのない宝物である可能性があります。特に写真や手紙、趣味の道具などは、後から「取っておけばよかった」と後悔しても取り戻すことはできません。形見分けなどを通じて、皆が納得できる形で整理を進めることが、故人にとっても遺族にとっても最善の方法と言えるでしょう。
遺品整理で捨ててはいけないもの
ここでは、具体的にどのようなものを捨てずに保管しておくべきか、表形式でご紹介します。整理作業中に見つけたら、すぐに捨てずに「保管」するようにしてください。
カテゴリ | 具体的な品目 | 確認すべきポイント |
財産・貴重品 | 現金、預貯金通帳、キャッシュカード、クレジットカード | 相続財産として計上し、遺産分割協議の対象とします。カード類は解約手続きが必要です。 |
権利・契約書類 | 不動産の権利書、登記済証、賃貸契約書 | 相続登記や契約の引き継ぎ、解約手続きに必須です。 |
有価証券 | 株券、投資信託の書類、ゴルフ会員権 | 財産価値があり、名義変更や売却の手続きが必要です。 |
保険関連 | 生命保険証券、損害保険証券 | 保険金の請求手続きに必要です。請求期限があるため早めに確認しましょう。 |
身分証明書 | 運転免許証、パスポート、健康保険証、年金手帳、マイナンバーカード | 身分証明書(運転免許証、パスポート、健康保険証、年金手帳、マイナンバーカード)は死亡後の各種手続きで本人確認書類として必要になります。手続き後、運転免許証は警察署に、パスポートはパスポートセンターに、健康保険証は各保険者に返却します。なお、年金手帳は返却不要(令和4年4月廃止)、マイナンバーカードは返却義務なし(自動失効)です。 |
その他重要品 | 実印、印鑑登録証、鍵、合鍵 | 契約や解約、金庫や貸金庫の開錠に必要です。 |
デジタル遺品 | パソコン、スマートフォン、タブレット、各種アカウント情報 | 内部のデータを確認し、ネットバンクや有料サービス等の契約がないか調べます。 |
思い出の品 | 写真、アルバム、手紙、日記、趣味のコレクション | 親族と相談の上、形見分けやデータ化などを検討します。 |
返却が必要なもの | レンタル品(Wi-Fiルーター、介護用品等)、会社の備品 | 契約先に連絡し、速やかに返却します。 |
遺品整理で捨ててはいけないものについて、下記にて一部補足をしながら説明します。
現金・預貯金通帳・印鑑
現金や通帳は相続財産の中心となるものです。法律上、勝手に捨てることは許されません。実印や銀行印も、各種手続きで必要となるため必ず保管してください。
不動産の権利書・登記済証
土地や家屋を所有していた場合、その権利書は相続登記の際に法務局へ提出する必要は原則ありません。ただし、被相続人の住所証明書が提出できない場合など例外的なケースでは必要となることがあります。非常に重要な書類ですので、厳重に保管しましょう。
有価証券・保険証券
株券や保険証券も価値のある財産です。故人がどのような金融資産を持っていたかを把握し、名義変更や解約、保険金の請求といった手続きを進めるために不可欠です。
貴金属・骨董品・ブランド品
一見して価値が分かりにくいものでも、専門家が鑑定すると高額になるケースがあります。相続財産として価値を明確にするためにも、安易に処分せず、専門の買取業者に査定を依頼しましょう。
パソコン・スマートフォンのデータ
故人のデジタルデバイスには、友人関係や財産に関する重要な情報が残されている可能性があります。パスワードが分からなくても、専門業者に依頼すればデータを取り出せる場合があるため、すぐに処分しないようにしましょう。
写真・アルバム・手紙
故人との思い出が詰まったこれらの品は、遺族にとって何物にも代えがたい宝物です。全ての写真を保管するのが難しい場合は、データ化して共有するなど、親族間で相談して最適な方法を見つけましょう。
鍵・合鍵
何の鍵か分からなくても、すぐに捨ててはいけません。実家の鍵はもちろん、貸金庫や倉庫、自動車など、重要な場所の鍵である可能性があります。
レンタル品・リース品
故人がレンタル・リース契約をしていた品物は、所有権が本人にないため返却義務があります。無断で処分すると損害賠償を請求される可能性もあるため、契約書などを探し、速やかに連絡を取りましょう。
判断に迷う遺品の4つの対処法
遺品を「捨てる」「残す」の二択で分けられない、判断に迷うものも多く出てくるでしょう。特に、仏壇や神棚、人形、故人が大切にしていた趣味の道具などは、処分することに心理的な抵抗を感じる方も少なくありません。ここでは、そうした品々に対する4つの対処法をご紹介します。
親族間で形見分けをする
故人を偲ぶ品として、親族や親しかった友人と分け合う「形見分け」は、最も一般的な方法です。誰が何を受け取るかについては、トラブルを避けるためにも相続人全員で話し合って決めることが大切です。思い出を語り合いながら分けることで、故人を偲ぶ良い機会にもなります。
専門業者に買い取りを依頼する
骨董品や美術品、ブランド品、着物など、価値が分かりにくいものは専門の買取業者に査定を依頼しましょう。複数の業者に見積もりを依頼することで、適正な価格で買い取ってもらえる可能性が高まります。遺品整理を専門に行っている業者であれば、幅広いジャンルの品に対応してくれることが多いです。
神社やお寺で供養する
仏壇や神棚、人形、お守りなど、魂が宿ると考えられている品々は、そのまま処分するのに抵抗があるものです。このような品は、お近くの神社やお寺に相談し、「お焚き上げ」などの形で供養してもらうことができます。供養を専門に行うサービスもあるため、検討してみると良いでしょう。
施設や団体に寄付する
まだ使える衣類や家具、書籍、日用品などは、福祉施設やNPO団体などに寄付するという選択肢もあります。故人が大切にしていたものが、誰かの役に立つことで、遺族の心の慰めにも繋がります。寄付を受け付けている品目や条件は団体によって異なるため、事前に問い合わせて確認しましょう。
遺品整理をスムーズに進めるための手順
いざ遺品整理を始めようとしても、何から手をつければ良いのか分からず、途方に暮れてしまうことがあります。ここでは、効率的かつ後悔なく作業を進めるための基本的な手順を4つのステップで解説します。
手順1:遺言書の有無を確認する
最も重要なのが、遺言書の有無を確認することです。 遺言書には遺産の分割方法や、個々の遺品を誰に譲るかといった故人遺言以外の意思が記されている場合があります。もし遺言書が見つかった場合、その内容が最優先されるため、必ず整理作業を始める前に探してください。公正証書遺言および法務局で保管された自筆証書は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要になることも覚えておきましょう。
手順2:遺品の仕分けを行う
次に、遺品を「貴重品・重要書類」「残すもの(形見分け含む)」「判断が難しいもの(保留)」「処分するもの」の4つに分類していきます。部屋ごとに作業日を決めて、少しずつ進めていくのがポイントです。分別用の段ボール箱を用意し、マジックで内容物を明記しながら作業を進めると、後で確認しやすくなります。
手順3:貴重品や重要書類を保管する
仕分け作業中に出てきた現金、通帳、権利書、保険証券などの貴重品や重要書類は、一つの箱にまとめて厳重に保管します。相続手続きが完了するまで、これらの書類は何度も確認する必要があるため、誰がどこで管理するのかを親族間で明確にしておきましょう。
手順4:不用品の処分方法を検討する
「処分するもの」に分類された遺品は、自治体のルールに従って処分します。家具や家電などの大型ごみは、別途申し込みが必要です。また、リサイクルショップに売却したり、不用品回収業者に依頼したりする方法もあります。ただし、業者に依頼する場合は、不法投棄などを避けるためにも、自治体から「一般廃棄物収集運搬業」の許可を得ている正規の業者を選ぶようにしてください。
遺品整理はいつから始めるべき?
遺品整理を始める時期に、法的な決まりはありません。しかし、状況によっては早めに着手しなければならないケースもあります。ご自身の気持ちと、物理的な期限の両方を考慮して、最適なタイミングを判断することが大切です。
賃貸物件の場合は早めに着手する
故人が賃貸のアパートやマンションに住んでいた場合は、注意が必要です。契約が続いている限り家賃が発生し続けるため、できるだけ早く遺品を片付けて部屋を明け渡す必要があります。退去期限を過ぎると延滞料金が発生することもあるため、まずは大家さんや管理会社に連絡を取り、今後のスケジュールについて相談しましょう。
気持ちの整理がついてからでも遅くはない
持ち家の場合など、特に期限が設けられていないのであれば、焦る必要はありません。大切な人を亡くした悲しみの中で無理に作業を進めると、精神的な負担が大きくなるだけでなく、冷静な判断ができずに後で後悔するものを捨ててしまう可能性もあります。四十九日や一周忌といった法要を一つの区切りとして、ご自身の気持ちの整理がついてからゆっくりと始めるのが良いでしょう。
自分で行うのが難しい場合は業者への依頼も検討
遺品の量が膨大であったり、遠方に住んでいて作業時間が取れなかったり、高齢で体力的に難しかったりと、自分たちだけで遺品整理を行うのが困難なケースも少なくありません。そのような場合は、専門の遺品整理業者に依頼することも有効な選択肢です。
信頼できる遺品整理業者の選び方
遺品整理業者は数多く存在しますが、中には高額な追加料金を請求したり、不法投棄を行ったりする悪質な業者もいるため、選定は慎重に行う必要があります。業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を必ず行いましょう。また、料金体系が明確であるか、「遺品整理士」などの資格を持つスタッフが在籍しているか、一般廃棄物収集運搬業の許可を得ているかなども、信頼できる業者を見極めるための重要なポイントです。
遺品整理を依頼する際の費用相場
遺品整理の費用は、部屋の間取りや遺品の量、作業人数、オプションの有無などによって大きく変動します。あくまで目安ですが、以下が一般的な費用相場です。
間取り | 作業人数 | 作業時間 | 費用相場 |
1R・1K | 1〜2名 | 1〜2時間 | 30,000円 ~ 80,000円 |
1DK | 2〜3名 | 2〜4時間 | 50,000円 ~ 120,000円 |
2LDK | 3〜6名 | 3〜8時間 | 120,000円 ~ 300,000円 |
3LDK以上 | 4~10名 | 5〜15時間 | 170,000円 ~ |
正確な料金を知るためには、必ず現地を訪問してもらい、詳細な見積もりを出してもらうことが不可欠です。
まとめ
遺品整理は、単なる片付け作業ではなく、故人との思い出と向き合い、心の整理をつけるための大切な時間です。捨ててはいけないものを正しく理解し、ご自身の気持ちと向き合いながら、後悔のないように丁寧に進めてください。もしご自身での整理が難しいと感じたときは、無理をせず専門家の力を借りることも検討しましょう。
特に、お仏壇や位牌など、ご自身での処分が難しいお品物の扱いに悩まれていませんか?
「さくらサービス東京」では、そうした故人様の大切なお品物を、提携寺院にて一つひとつ丁寧に供養し、責任をもって処分まで一貫してサポートいたします。
全国対応の郵送受付サービスもございますので、遠方にお住まいの方や、お忙しい方でも安心してご利用いただけます。料金も分かりやすい設定で、心の負担を少しでも軽くするお手伝いをいたします。 詳しくは、ぜひ公式サイトをご覧ください。






コメント