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お盆と踊り。夏の風物詩と先祖供養の深いつながりについて。

お盆と踊りにまつわる話

お盆は親戚一同が集まるひとつの機会です。子供たちは夏の思い出としてお墓参りや盆踊りを経験されたかもしれません。

おじいちゃん、おばあちゃんの家に行くと仏壇があるものですが、子供たちから見れば、先祖代々がまつられているといわれてもピンときません。

ですが、仏壇やお位牌は家庭の中のお寺のような場所です。 ご本尊がまつられており、ご先祖様や故人も祀ってある仏壇の前で手を合わせることは、すでにこの世にはいなくなってしまった方との絆を確かめることです。 毎日欠かさずにお参りをしている方の中には、いつも一緒にいるようなつながりを感じている方もいるかもしれません。親戚一同が集まる機会こそ、家のお位牌や仏壇は、どのように管理していけば良いのか?一度考える機会にされてはいかがでしょうか。

すでに暦の上では立秋を過ぎました。

季節の挨拶としては「残暑お見舞い申し上げます」ということにはなるのでしょうか。

夏は親戚一同が集まることも多く、楽しいイベントが目白押しです。そんな楽しい夏の風物詩ともいえるのが、今回の題にもした「盆踊り」ではないでしょうか。


盆踊りの様子

盆踊りの想い出

炭坑節やら東京音頭、最近では「盆ジョビ」という洋楽に合わせたものもあるそうです。櫓(やぐら)の上から太鼓の音が響いては夏の夜空に吸い込まれていく。その櫓を浴衣姿の老若男女がぐるりと取り囲んで踊り、さらにその周囲を取り巻く夜店では子どもたちが小銭を握りしめては焼きそばにしようか、それとも金魚すくいにしようかと迷っている。私などは、昭和的な思い出がよみがえってきます。


お盆に踊る理由

「盆踊りって、一体いつ頃からあって、そもそもどうして皆で踊るのか?」は諸説あり、結構分かっていないことが多い状況です。

一説によると、すでに室町時代の文書には「盆ノオドリ」という記述が出てくるのですが、これは現在のように地域の人びとが集まって親睦を深めるといった趣旨よりも、むしろ中世の庶民文化に浸透しつつあった風流(ふりゅう)、すなわち非日常の趣向を凝らした芸能や芸術全般のトレンドを背景とするものでした。

室町時代の人々が、険しい日々、ままならないことも多い日常生活から解放されたいといった環境から、誰とはなしに思い思いに着飾って、あるいは奇抜な仮装をして市中に繰り出しては踊り明かす。そういう風情のものでした。


また、上記の流れとはまた別ではあるものの、平安時代の僧、空也が始めたと言われています「念仏踊り」も盆踊りの源流の一つに位置づけることができます。

空也は後世に「市聖(いちのひじり)」という名でも呼ばれているように、高僧でありながら世俗の人びとと密接に触れ合い、また鉦(かね)や太鼓を鳴らして踊りながら念仏を唱える「踊り念仏」を通じて仏教の教えを一般大衆に広めたことで知られています。


先祖供養との関係

これらに共通する背景には、「先祖の霊魂を迎え供養し、まつる」という人びとの「先祖供養」への思いが深く横たわっていることです。

盆踊りには、お盆に帰ってくる先祖の霊を迎え送ると意味が込められていて、実は踊りながら先祖への思いを馳せ供養するためのものだったのです。

しかし、だんだん時の経過とともに宗教的な意味合いは薄れ、娯楽的なものに変わっていきます。その後は、土地柄と結びついて地域ごとに独特の内容で進化していく事になります。今では特色のある大小様々な盆踊りが地域ごとやコミュニティー単位のイベントとして開催され親しまれるようになりました。盆踊りというと、やぐらを囲んでその周りを踊るというイメージがありますが実は、やぐらにも先祖供養の意味が込められています。

明るく沢山の提灯で装飾されたやぐらは、先祖を送り迎える際に焚く火を再現したもので、その明かりを頼りに先祖は戻ってきます。つまり先祖とのコミュニケーションの手段なのだそうです。



 

上記のような盆踊りの「先祖供養」への思いは、仏壇やお位牌といった家庭の仏事にも大きく反映されてます。

ご先祖様が祀られた仏壇とお位牌は今後どのように管理していけば良いのでしょうか。この問題は、日本の多くの家庭に発生している事例であり、今後も増え続ける問題です。これ以降では仏壇及びお位牌の扱い方についてまとめてみたいと思います。







■ お墓や仏壇は誰が継ぐのか?

 

●継ぐ人のことは民法で定められています。


継ぐ人を祭祀承継者と言います。

財産は「相続財産」と「祭祀財産」があり、相続財産とは、金融資産や不動産などの一般的にいう「相続財産」のことを指し、お墓や仏壇など、神仏や祖先を祀るものは「祭祀財産」といって相続財産とは別に承継することになっています。

この祭祀財産を継ぐ人を祭祀承継者と言って一般的な相続と違って基本的には決められた一人が引き継ぐことになります。※祭祀財産は、複数の相続人が遺産の分割をするような考え方は有りません。


祭祀承継者は供養を継続管理する役目を継ぐことになり祭祀財産の主なものは、仏壇やお位牌、お墓など、神仏や祖先を祀るためのものを指し、その後の法事等の仏事に関しては主催者となり、お墓や仏壇などの管理も(名義も変えて経費負担も含めて)担います。



一人娘と仏壇


■ 跡取りがいない場合の承継者選びはどうなる?

 

では通常の跡取り(長男)がいない場合、仏壇やお墓、位牌などの祭祀財産はだれがどのように引き取るべきなのでしょうか。あるいは祭祀承継者となるべき人はどのように決めるのでしょうか


●民法に定められた祭祀承継者の決め方。


  1. 被相続人の指名に従う(辞退不可)

  2. 慣習に則った形で親族の話合いによって決める

  3. 家庭裁判所に決めてもらう


この順番に従って決定することになっています。相続を放棄しても祭祀財産の承継はできますし、合意が整えば血縁関係のない他人が承継することも可能です。

祭祀財産の管理を永続的に任される祭祀継承者は、自己の判断によってそれらの祭祀財産を処分する権利も有しています。ちなみに祭祀財産の相続に税金はかかりません。



■ 祭祀財産を管理する場合に考えるべきこと

 

跡取り(長男)がいない場合、娘が正式に祭祀承継者として先祖代々のお墓や仏壇を引き取ることは可能ですが、実際に娘が先祖代々の供養の継続を責任感だけで引き受けて、祭祀承継者になって仏壇を引き取っても結局次の代で同じ問題が起こる可能性があります。

引き継ぐ長男などが居ない場合、男子に限らず適任者がいれば女性であっても承継できるというのが祭祀承継の考え方ですが、特に優遇されたり経済的な支援や助成があるわけではありません

祭祀を引き継ぐということは、責任をもって供養を継続する義務を請け負うということであり、次世代にその任を引き継がせることも考えていく必要があります。適した条件と環境を持っているものが承継しなければ、その次世代に同じ問題を先送りすることになります。

嫁いだ身で民法に定められた権利を継いで祭祀財産を管理継続することは物理的にも経済的にも合理的ではないし負担も小さくないはずです。嫁ぎ先にもお墓があり、仏壇があり、家が両方を管理するということは面倒なことが多いはずです。

信仰に対して無責任なことはいけませんが、お墓が無縁仏となり、多くの空き家に仏壇が放置されている現在の社会現象を見れば、無理に供養を継続管理するのではなく、処分(永久に供養するという意味)してしまう流れの決断も必然なのではないかと考えます。

ちなみに祭祀承継者は祭祀財産の処分を決めることもできるとされています。つまり次世代に引き継いでいくことが難しいと判断すれば、祭祀承継者の権限で処分を決めることもできるのです。



■ お墓や仏壇の引取りが難しい、今のライフスタイル

 

昔からお墓や仏壇の引継ぎに際し、この堅苦しい祭祀承継者という役割をわざわざ決めている家はそもそも少なく(そもそもその認識もなく)、家を継いだ人、仏壇を引き取った人、お墓の管理を任された人、という感じで親族の内々で長男がその役割を自然に引き継いでいるのが普通でした。

後継ぎがいなければ系譜も途絶えます。そうなれば仏壇やお墓も処分したり永代供養に任せたりするというのは昔も今も変わらないはずです。ところがその頻度や絶対数が昔とは違って、どんどん増えているというので問題が深刻化、健在化してきました。昔は跡取り(長男や婿)となる後継者がいて当たり前で、2~3世代が一緒の家で暮らしていました。供養の引継ぎなどわざわざ考えるまでもなく、代々続く家と墓と仏壇は普遍的にそこに存在していたわけです。ところが今は事情が違います。子供は長男であっても親元から離れ仕事優先で済む場所を決めます。そして都会の便利な場所で大きな仏壇とは無縁のライフスタイルを送ることになります。当然引き取ることは物理的に難しいので親も子もいつかなんとかしないといけないと思いつつ「今後の供養の管理」のことは先送りにして何十年も経ってしまうのです。



■ 承継が困難なら後始末を検討するしかない

 

家を継ぐ男子が居たとしても子供たちの家に大きな仏壇を引き取ったり実家にある田舎のお墓の管理や墓参りさえ継続していくことが難しいことが多いです。ですから日本の少子高齢化や核家族化の社会傾向の背景から、家系が途絶えてしまう家が増える中で、途絶えてしまうなら最後にきちんと正しく永代供養することが最後の代(子孫)として必然の流れであるという風潮が高まっているのです。


永代供養という言葉が独り歩きして関連商品も沢山出現しています。「とにかく面倒見れないのだからしょうがない」という究極の選択の救済手段になっている面もあります。都会にもアクセスが便利でお手頃な価格の永代供養の樹木葬の墓地や納骨堂がどんどん登場してきています。



■ 処分の前に嫁いだ娘が取れる手段はないのか?

 

嫁いだ娘が実家のお墓の管理や、仏壇・位牌の引き取り先が自分しかいないと困っている場合、まずは供養の継続前提で以下の取り組みが考えられます。最終的な手段である永代供養の前に参考にしてみてください。


①親族に引取りを頼ってみる。

核家族化している現代では、叔父さん叔母さんの家族にも何十年も会っていなかったりします。民法が定める祭祀を承継するに相応しい者は、被相続人の子供達だけとは限りません。形に捕らわれず、権利や肩書も気にせず、お父さんの兄弟などの親族に仏壇やお位牌の引取りをダメモトで相談してみることも無駄ではありません。


②嫁ぎ先の家系に仏壇や位牌を統合してもらう。

具体的に言うと、実家のお位牌を嫁ぎ先の仏壇の中に移させていただくということになります。(仏壇は処分することになります。)嫁ぎ先の一族の了承頂けるならという条件が付くことはもちろんですが仏壇を並べて二つ置くよりは現実的です。将来のトラブルを考えると積極的な方策とも言いずらいですが、全く無謀なことではなく実際に行っている方々が少なからずいらっしゃいます。


③お墓も統合できる。

墓じまいしてお骨も取り出し、嫁ぎ先のお墓に納骨させてもらう。

お寺側の了承が得られればこれも可能です。

複数の骨壺は粉骨にして一つの骨壺に纏めてなるべくスペースを小さくできます。

実家のお寺とは離檀し旦那様のお寺を菩提寺とする流れになります。宗派が異なる場合には新しい菩提寺の考え方次第ですが戒名を改めて頂くことになるかも知れません。

ハードルは高いのですが、お寺にとっても無理な話ではなく仏教の思想にも反しませんのでお寺に思想次第で可能性はあります。



但し途絶える家の都合で縁のなかった家系の代々が混じってくることですので、感情的な部分で受け入れられるかどうかは入り混じる当事者の気持ち次第です。

子孫の心に残していくための礼拝対象であり、感謝の念で先祖代々に関わっていく価値観が、生活や精神の負担になってまで継続することに正しい意味があるのかをよく考えて周囲とも相談して判断してください。



■ 生活事情に合わない無理は避けることが無難

 

形や手法に捕らわれて、宗教上の慣習に縛られて、一時的な感情で方向性を間違ってしまうとあとが大変です。墓じまいも特に届け出も簡単でお墓を受け継ぐ者の戸籍謄本や住民票などの書類さえあればできます。菩提寺(お寺)との縁がなくても魂抜きをしてお焚き上げしてくれる業者もいます。日本の家庭の多くが同じ悩みを抱えているのですから、供養の継続をサービスとして終わらせてくれる会社もどんどん登場していますので相談してみましょう。見積りを依頼すれば相談にのって応えてくれます。


相談してみることで自らの終活も前向きに踏み出せることと思います。是非とも情報を収集していろいろな考え方に触れて自分らしい先祖供養の今後を考えてみてください。



■ 最後に仏壇供養の支援をしている立場から

 

仏壇を仕舞うときにご先祖様に申し訳ないと言われる方がとても多いのですが、そのたびに「ご先祖様は、このまま放置されるよりも永代供養で子孫の負担をへらしてくれてありがとう」と仰っているのではないかと思います。


その証拠に、仏壇や位牌の供養をお手伝いしている我々は、トラブルもなく逆に事故から救われたと思うことがとても多く、良い仕事をさせてもらっていると毎日感じています。


例えば仏壇を引き取りに行ったさきのお宅でお話をすると、弊社の提携先のお寺をご存じだったり、近くに実家があったり、出身がその県だったり、そのお寺に親族のお墓があったり、鳥肌が立つような奇跡のような偶然は毎週のように経験しています。


ですからご先祖様に呼ばれて供養の最後を我々がお手伝いしているのだという証を経験的に私達は理解しているのです。


一方で、生きている人を中心に前向きに無理のない供養の在り方を検討することも重要です。よくある質問で、仏壇がなくなって位牌だけを手元に置いて手を合わせているがこのようなスタイルで大丈夫か?とか親のお位牌の管理を子供に任せられないが、自分がずっと持っておくべきか?などといったお位牌を中心に考えて悩まれている方が多いです。故人への想いは心の中に在って、お位牌はあくまで心の拠り所とするシンボルのようなものです。仏教の教えで宗派ごとに考え方は異なると思いますが、一番大事なのは生きている人を中心に考えることです。

位牌が無ければ心配ならばずっと持っていれば良いですし、その環境も生きている人の都合に合わせて考えるべきだと思います。昔からの慣習に縛られすぎて、窮屈でつらい信仰をもつよりも、今のライフスタイルに有った形で故人やご先祖様に感謝する心を持つ方が健全です。




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