浄土真宗の仏壇じまいの進め方!遷座法要や費用、注意点を分かりやすく解説します
- Shinji Iwata
- 8月15日
- 読了時間: 12分
近年、「仏壇じまい」という言葉を耳にする機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。
生活様式の変化や住環境の問題から、これまで大切に守ってきた仏壇の扱いに悩むご家庭が増えています。ご先祖様や故人を思う気持ちはあっても、やむを得ない事情で仏壇を手放さなければならない状況は、誰にでも起こり得ます。
しかし、いざ仏壇じまいをしようと思っても、「何から始めればいいの?」「費用はどれくらい?」「ご先祖様に失礼にならない?」など、不安や疑問は尽きません。この記事では、そんなお悩みを抱える方のために、仏壇じまいの意味から具体的な手順、費用、注意点までを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、きっとあなたも安心して、後悔のない仏壇じまいを進めることができるでしょう。
仏壇じまいとは?近年増えている背景
仏壇じまいについて、まずその意味と、なぜ今これほど多くの人が検討するようになったのか、その背景から見ていきましょう。
仏壇じまいはご先祖様への感謝を示す大切な儀式です
「仏壇じまい」とは、さまざまな事情で維持が難しくなった仏壇を、然るべき供養を行った上で処分することを指します。
単に仏壇を「捨てる」のではなく、これまでの感謝を込めて、仏壇に宿るとされる魂を抜き、その役目を終えていただくための大切な儀式です。
これまで家族を見守ってくれた仏壇に対して、最後のけじめとして丁寧な供養を行うことで、心の整理をつけ、気持ちよく次のステップへ進むことができます。
仏壇じまいを考える主な理由
仏壇じまいを検討する理由は、ご家庭によってさまざまですが、主に以下のようなケースが挙げられます。
継承者がいない:少子化や核家族化が進み、仏壇やお墓を守っていく子孫がいないご家庭が増えています。自分の代で整理し、子供たちに負担をかけたくないという思いから決断される方が多いです。
引っ越し:引っ越し先のマンションやアパートに、大きな仏壇を置くスペースがないという物理的な問題です。現代の住環境に合わせて、よりコンパクトなものに買い替える際に、古い仏壇をじまいするケースも含まれます。
実家の整理:親が亡くなったり、施設に入居したりして実家が空き家になる際に、家の売却や解体に伴って仏壇を処分する必要が出てきます。
墓じまいと同時に:お墓の管理が難しくなり「墓じまい」をするタイミングで、併せて仏壇の整理も検討する方が増えています。
後悔しない仏壇じまいの進め方!7つのステップで解説
仏壇じまいを滞りなく、そして後悔なく進めるためには、段取りが非常に重要です。ここでは、具体的な7つのステップに分けて、その流れを詳しく解説します。
● ステップ1:親族への相談と合意形成
仏壇じまいを進める上で、最も重要と言えるのが親族への相談です。仏壇は、あなた個人だけのものではなく、親や兄弟、親戚一同にとって大切なご先祖様との繋がりを感じる場所です。何の相談もなしに処分してしまうと、「なぜ勝手に」「一言相談してほしかった」といった深刻なトラブルに発展しかねません。
なぜ仏壇じまいをしたいのか、その理由を丁寧に説明し、処分方法やその後の供養についてもしっかりと話し合い、全員が納得できる形を見つけることが、円満に進めるための第一歩です。
● ステップ2:仏壇の処分方法と依頼先の決定
親族の合意が得られたら、次に仏壇をどのように処分するか、具体的な依頼先を決めます。処分方法には、菩提寺や仏具店、専門業者への依頼、あるいは自治体の粗大ごみとして出すなど、いくつかの選択肢があります。それぞれの方法にメリット・デメリット、そして費用の違いがありますので、ご自身の状況や考え方に合った方法を選びましょう。
詳しくは後の章「【依頼先別】仏壇の4つの処分方法と費用相場」で解説します。
● ステップ3:ご供養の依頼と実施
依頼先が決まったら、仏壇の供養をお寺や僧侶に依頼します。この儀式を経て、仏壇は信仰の対象から「ただの物」になるとされています。処分の前に必ず行うべき、非常に大切な工程です。
菩提寺がある場合はそちらにお願いするのが一般的ですが、ない場合は、仏具店や専門業者に紹介してもらうか、僧侶派遣サービスを利用することも可能です。
● ステップ4:仏壇の中の整理と最終確認
ご供養が済み、仏壇を搬出する前に、必ず中を空にして整理しましょう。特に、引き出しの中は念入りに確認してください。ご先祖が遺した大切な書類(土地の権利書など)や現金、通帳、印鑑といった貴重品がしまわれているケースは少なくありません。
また、仏壇によっては、思いがけない場所に「隠し引き出し」が設けられていることもあります。一度処分してしまうと取り戻すことはできませんので、隅々まで確認することが肝心です。
● ステップ5:仏壇の搬出と処分
依頼した業者に仏壇を搬出してもらい、処分が実行されます。ご自身で粗大ごみとして出す場合は、自治体のルールに従って解体や搬出作業を行います。業者に依頼する場合は、当日の作業内容や流れを事前に確認しておくとスムーズです。
● ステップ6:位牌の供養方法の決定
仏壇本体以上に、丁重な扱いが求められるのが、ご先祖様の魂が宿る「位牌」です。浄土真宗の場合でもお位牌を作られている方はとても多いです。仏壇じまいをした後、位牌をどのように供養していくかを決めなければなりません。
お焚き上げをして供養する、お寺で永代にわたって供養してもらう(永代供養)、あるいは自宅で供養を続ける(手元供養)など、さまざまな選択肢があります。これも親族とよく話し合って決めましょう。
● ステップ7:仏壇じまい後の供養の検討
仏壇がなくなったからといって、ご先祖様を思う気持ちが消えるわけではありません。手を合わせる対象がなくなることに寂しさを感じる方もいるでしょう。
最近では、リビングにも置けるようなモダンでコンパクトな仏壇や、お気に入りの写真と一緒に遺骨や位牌を置けるステージ型の「手元供養」品など、新しい祈りの形が数多く登場しています。ご自身のライフスタイルに合った、新しい供養の形を検討してみるのも良いでしょう。
浄土真宗の「遷座法要」とは? 仏壇じまいの魂抜き
仏壇じまいにおいて、避けては通れないのがご本尊様の魂抜きです。しかし浄土真宗は違った意味を持ちます。この儀式がどのような意味を持つのか、詳しく見ていきましょう。
一般的な閉眼供養の意味と必要性
浄土真宗の他の仏教では、新しく仏壇やお墓を購入した際に「開眼供養(かいげんくよう)」という儀式を行い、仏様の魂を迎え入れます。これにより、単なる「物」が、手を合わせるべき神聖な「信仰の対象」になると考えられています。
「閉眼供養」は、その逆の儀式です。仏壇じまいなどによって役目を終えた仏壇から魂を抜いていただき、再び単なる「物」に戻すことを意味します。「魂抜き」「お性根抜き」などと呼ばれることもあります。
この儀式を行うことで、心置きなく仏壇を整理することができるようになります。
閉眼供養の依頼先
閉眼供養は、僧侶に依頼して読経してもらいます。主な依頼先は以下の通りです。
依頼先 | 特徴 |
菩提寺 | 代々お付き合いのあるお寺。関係性が深いため、安心して相談できます。 |
近隣の寺院 | 菩提寺がない場合に。宗派が同じお寺に相談してみましょう。 |
仏具店・専門業者 | 提携している僧侶を紹介してくれる場合があります。処分とまとめて依頼できるのが利点です。 |
僧侶派遣サービス | インターネットなどで手配できるサービス。お布施の金額が明確なことが多いです。 |
お布施の相場は、地域やお寺との関係性によって異なりますが、3万円~5万円程度が一般的です。不安な場合は、事前にお寺に「皆様おいくらくらいお包みされていますか」と尋ねても失礼にはあたりません。
浄土真宗は「遷座法要」を行います。
浄土真宗は他宗派と教義が異なり、「魂」という概念がありません。そのため、魂を入れたり抜いたりする「開眼供養」や「閉眼供養」は行わず、代わりに仏壇の移動や処分の際には「遷座法要(せんざほうよう)」または「遷仏法要(せんぶつほうよう)」を営みます。これは、ご本尊である阿弥陀如来に場所を移っていただき、感謝を伝えるための大切な儀式です。
しかし近年では、菩提寺に相談できない方や、浄土真宗でありながら位牌を作っている方も増えています。その結果、次世代が仏壇じまいを行う際、作法や供養の方法に迷うケースが多くなっています。
信仰や知識のない世代にとっては、宗派による作法の違いは重要ではなく、「きちんと供養すること」自体が最も大切だという意識が強まっています。
つまり、供養の方法は任せたいが、供養そのものは必ず行いたいという要望が増えているのです。仏壇や位牌の処分に関しては、「浄土真宗の住職でなくても構わない」という考え方が、今や一般的になりつつあります。
【依頼先別】仏壇の4つの処分方法と費用相場
閉眼供養を終えた仏壇は、いよいよ処分となります。ここでは、4つの主要な処分方法と、それぞれの費用相場、メリット・デメリットを解説します。
菩提寺・お寺に依頼する
閉眼供養を依頼したお寺に、そのまま仏壇の引き取りと処分(お焚き上げなど)をお願いする方法です。
費用相場:1万円~8万円程度(お布施とは別の場合が多い)
メリット:供養から処分まで一貫して任せられるため安心感が高い。
デメリット:費用が明確でない場合がある。お寺によっては引き受けていないこともある。
仏具店に依頼する
仏壇・仏具の専門店に引き取りを依頼します。新しい仏壇に買い替える場合は、古い仏壇を無料で引き取ってくれるサービスを行っていることもあります。
費用相場:2万円~8万円程度
メリット:料金体系が明確で分かりやすい。仏壇の扱いに慣れているのでスムーズ。
デメリット:閉眼供養は別途手配が必要な場合が多い。
仏壇処分の専門業者に依頼する
仏壇じまいを専門に扱う業者や、遺品整理業者などに依頼する方法です。
費用相場:2万円~7万円程度
メリット:閉眼供養から処分までセットで依頼できるプランがある。他の遺品もまとめて整理できる。
デメリット:業者によってサービス内容や質に差があるため、慎重な見極めが必要。
自治体の粗大ごみとして処分する
閉眼供養後の仏壇は「物」になっているため、自治体のルールに従って粗大ごみとして出すことも可能です。
費用相場:数百円~3,000円程度
メリット:費用を最も安く抑えられる。
デメリット:自身で解体や搬出を行う手間がかかる。ごみ集積所に仏壇を出すことに心理的な抵抗を感じる人もいる。自治体によっては回収不可の場合もある。
仏壇じまいで最も重要な位牌の扱い
仏壇本体よりも、ある意味で重要となるのが位牌の扱いです。ご先祖様そのものとして、最後まで丁重に供養する方法を選びましょう。
お焚き上げ供養
お焚き上げとは、お寺や神社などで、魂が宿っていたものを炎で燃やして浄化し、天に還すという儀式です。閉眼供養を依頼したお寺で、そのままお焚き上げもお願いするのが一般的です。位牌処分の方法として、最も多く選ばれています。
永代供養
お寺や霊園が、遺族に代わって永代にわたり位牌を管理・供養してくれる方法です。継承者がいない場合や、自宅で管理できない場合に選ばれます。他の家の位牌と一緒に供養される「合祀」と、個別に安置される「単独」があります。
手元供養
自宅で位牌を引き続き供養する方法です。仏壇がなくなっても、小さな供養ステージなどを設けて、写真などと一緒に位牌を安置します。故人を身近に感じていたいという方に選ばれる、新しい供養の形です。
仏壇じまいにおける3つの注意点
最後に、仏壇じまいを円満に終えるために、特に気をつけておきたい3つのポイントを解説します。
☑ 注意点1:親族との間でトラブルにならないようにする
繰り返しになりますが、親族への事前相談は不可欠です。「自分がお金を出すから」「自分が管理しているから」といって独断で進めると、後々まで続く深刻な亀裂を生む可能性があります。仏壇じまいを決める前に、必ず関係する親族に連絡を取り、丁寧な説明と話し合いの場を設けましょう。
☑ 注意点2:仏壇の引き出しや収納は必ず確認する
仏壇の処分を依頼する前に、中が完全に空になっているか、最終確認を徹底しましょう。特に、普段開けない引き出しや、本尊が安置されている場所の裏側などに、貴重品が保管されていることがあります。先祖代々の大切な品を、誤って処分してしまわないよう、念には念を入れて確認してください。
☑ 注意点3:悪質な業者を選ばないようにする
残念ながら、仏壇じまいを請け負う業者の中には、高額な追加料金を請求したり、不法投棄を行ったりする悪質な業者が存在します。業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、料金体系が明確であるか、実績は豊富か、口コミの評判はどうかなどをしっかり確認しましょう。「無料回収」を謳う業者には特に注意が必要です。
まとめ:感謝の気持ちを込めて、悔いのない仏壇じまいを
仏壇じまいは、単なる物の処分ではありません。これまで家族の心の拠り所であった仏壇に感謝し、ご先祖様を敬う気持ちを形にする大切な儀式です。
正しい手順を踏み、親族とよく話し合うことで、きっと誰もが納得のいく仏壇じまいが実現できるでしょう。この記事が、あなたの仏壇じまいに対する不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。
長年ご家庭を守ってきたお仏壇は、感謝を込めて正しく供養することが大切です。
当サービスでは、提携寺院の住職が「魂抜き」の供養を丁寧に行った後、お焚き上げまで一貫して代行します。(※大きな仏壇はお焚き上げではなく解体してリサイクル処分となります。)
浄土真宗のご住職による遷仏法要を指定することも可能です。
通常の弊社で行う合同供養は、「宗派を超えて、ご供養(魂抜きの儀式)を行います」というスタンスです。複数の寺院の住職が担当されていますので、こだわりが無ければ是非お任せいただきたいと思います。
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