top of page

遺品整理の費用は誰が払う?支払い義務者や兄弟での分担方法を解説

ご家族が亡くなられた後、遺品整理は避けて通れない大切な手続きの一つです。しかし、専門業者に依頼する場合、その費用は決して安くありません。

「この費用は、一体誰が支払うべきなのだろうか」と、兄弟や親族間で疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。費用の問題は、時として親族間のトラブルに発展しかねないデリケートな問題です。この記事では、遺品整理の費用を誰が支払うべきか、法律上の考え方や一般的なケース、そして親族間で円満に解決するためのポイントを分かりやすく解説します。

遺品整理の費用は相続人が払う!

 

遺品整理の費用は原則として相続人が支払う

遺品整理の費用負担について考えるとき、まず基本となるのは「誰に支払いの義務があるか」という点です。法律上の観点から、その原則を確認していきましょう。


支払い義務は民法で定められた相続人にある

結論から言うと、遺品整理の費用を支払う義務は、故人の財産を相続する「相続人」にあります。これは、民法で定められているルールです。相続人は、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も受け継ぎます。遺品整理は、故人の財産を確定させるための行為の一部と見なされるため、その費用も相続人が負担するのが原則となります。


相続順位

対象者

備考

常に相続人

配偶者

常に他の順位の相続人と共に相続人になります。

第1順位

子ども(子が亡くなっている場合は孫)

配偶者がいる場合は、配偶者と共に相続人になります。

第2順位

親(親が亡くなっている場合は祖父母)

第1順位の相続人がいない場合に相続人になります。

第3順位

兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪)

第1順位および第2順位の相続人がいない場合に相続人になります。

※相続人が複数いる場合、遺品整理費用は相続分に応じて分担するのが原則です。ただし、相続放棄をした場合は支払い義務を免れます。


喪主が支払う義務はある?

葬儀を取り仕切る「喪主」が、遺品整理の費用も支払うべきだと考えられることがありますが、必ずしもそうではありません。喪主であることと、相続人であることは法的に別の問題です。もちろん、相続人が喪主を務めるケースが多いため、結果的に喪主が支払うことはよくあります。しかし、例えば相続人ではない親族が喪主を務めた場合、その人に支払い義務はありません。あくまで支払い義務は相続人にあります。


相続人が複数いる場合は誰が支払う?

兄弟姉妹など相続人が複数いる場合、相続債務は法定相続分に応じて当然に分割され、各相続人がその割合に応じた支払い義務を負います。遺産分割協議で相続人間の負担割合を決めることは可能ですが、それは相続人間の内部的な取り決めに過ぎず、債権者に対しては法定相続分に応じた債務を負担することになります。そのため、債権者からの請求に対しては法定相続分に従って支払う義務があり、遺産分割協議の内容を債権者に対抗することはできません。


 

【ケース別】遺品整理費用の支払いパターンを解説

相続人が費用を支払うのが原則ですが、実際の支払い方法は状況によって様々です。ここでは、代表的な3つの支払いパターンについて解説します。


支払いパターン

メリット

デメリット

故人の遺産から支払う

相続人全員で公平に負担できる

口座凍結の解除など手続きに時間がかかる場合がある

相続人が立て替える

スピーディーに支払いを済ませられる

事前の合意がないと後の精算でトラブルになる可能性がある

相続人同士で分担する

柔軟な負担割合を決められる

全員の合意形成が必要


故人の遺産(相続財産)から支払う方法

最も一般的で公平な方法が、故人が残した預貯金などの遺産から費用を支払うパターンです。これであれば、特定の相続人が金銭的な負担を強いられることがなく、相続人全員で費用を負担したことになります。ただし、注意点もあります。故人の銀行口座は、死亡が確認されると凍結されてしまうため、費用を引き出す方法は主に2つあります。


1つは相続人全員の同意書や戸籍謄本などを提出して凍結を解除する方法です。

もう1つは2019年7月から開始された「預貯金の仮払い制度」を利用する方法で、この場合は相続人全員の同意なしに単独で一定額(預金残高の3分の1に法定相続分を乗じた金額、または150万円のいずれか低い額)まで引き出すことができます。

手続きには時間がかかる場合があるため、業者への支払いを立て替える必要があるか、事前に確認しておきましょう。


相続人が自身の財産から立て替えて支払う方法

相続人のうちの誰か一人が、一旦ご自身の財産から費用を立て替えて支払う方法です。例えば、遺品整理を主導して進めている長男がまず支払い、後から他の兄弟と精算する、といったケースです。この方法は、口座凍結などの問題を気にせずスピーディーに支払いを済ませられるメリットがあります。しかし、後で他の相続人と精算する際に「言った、言わない」のトラブルにならないよう、事前に全員の合意を得ておくことが非常に重要です。


兄弟姉妹など相続人同士で分担して支払う方法

あらかじめ兄弟姉妹で話し合い、決めた割合に応じてそれぞれが費用を出し合って支払う方法です。例えば、「三兄弟で三等分する」「不動産を相続する長男が多く負担する」など、家庭の事情に合わせて柔軟に決めることができます。この方法も、相続人全員が納得していることが大前提となります。

 


兄弟姉妹で費用を分担する際の注意点

相続人が兄弟姉妹複数いる場合、費用分担の話し合いは特に慎重に進める必要があります。感情的な対立を避け、円満に解決するための3つの注意点を紹介します。


まずは全員で話し合いの場を設ける

何よりも大切なのは、相続人である兄弟姉妹全員が顔を合わせて話し合う機会を持つことです。誰か一人で決めたり、一部の人だけで話を進めたりすると、後から不満や疑念が生じる原因になります。全員が納得できる結論を出すために、それぞれの意見や状況を共有し、尊重し合う姿勢が不可欠です。


法定相続分に応じた公平な分担を検討する

もし負担割合で意見がまとまらない場合は、民法で定められた「法定相続分」に応じて費用を分担する方法が、一つの公平な基準となります。法定相続分とは、法律で定められた相続財産の取り分のことです。例えば、相続人が子ども3人のみであれば、相続分はそれぞれ3分の1ずつです。この割合で遺品整理の費用も負担すれば、誰もが納得しやすいでしょう。


合意した内容は書面に残しておく

話し合いで決まった内容は、簡単なものでも構いませんので、書面に残しておくことを強くお勧めします。「誰が、いくら、いつまでに支払うのか」といった合意内容を明記し、全員が署名・捺印しておけば、後のトラブルを防ぐための確かな証拠となります。口約束だけでなく、形として残すことが大切です。

 


遺品整理の費用が払えない場合の3つの対処法

「遺品整理の費用を支払う義務があることは分かったけれど、すぐに現金を用意するのが難しい」というケースもあるかもしれません。そのような場合の対処法を3つご紹介します。


遺品の買取サービスを利用して費用に充てる

遺品の中には、骨董品や貴金属、ブランド品、まだ使える家電製品など、価値のあるものが残されている場合があります。遺品整理業者の中には、こうした品物の買取サービスを同時に行っているところも多くあります。買取金額を遺品整理の費用から差し引いてもらうことで、実際の支払い負担を軽減することが可能です。



相続放棄を検討する

故人に借金などのマイナスの財産が多く、プラスの財産を上回ることが明らかな場合は、「相続放棄」という選択肢があります。相続放棄をすると、財産を一切相続しない代わりに、借金の返済義務や遺品整理の費用支払い義務もなくなります。ただし、相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要で、「相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という期限があるため注意が必要です。また、一度相続放棄をすると撤回はできませんので、慎重に検討する必要があります。


専門家や自治体に相談する

どうしても費用負担の話し合いがまとまらない、法的な手続きが分からないといった場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することも有効な手段です。また、自治体によっては、生活困窮者向けの支援制度などがある場合もあります。一人で抱え込まず、専門家や公的な窓口に相談してみましょう。


対処法

内容

注意点

遺品の買取サービス

価値のある遺品を売却し、費用に充てる

すべての品物に値段がつくわけではない

相続放棄

財産も負債も一切相続しない手続き

期限があり、一度行うと撤回できない

専門家や自治体への相談

法的なアドバイスや公的支援を受ける

相談費用がかかる場合がある

 


遺品整理にかかる費用の相場はいくら?

遺品整理を業者に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。料金は、部屋の広さや荷物の量、作業内容によって大きく変わります。


間取り別の費用相場一覧

あくまで一般的な目安ですが、間取りごとの費用相場は以下の通りです。この金額には、仕分け、梱包、搬出、簡易清掃、不用品の処分費用などが含まれていることが多いです。


間取り

費用相場

1R・1K

30,000円~80,000円

1DK

50,000円~120,000円

1LDK

70,000円~200,000円

2LDK

120,000円~300,000円

3LDK

170,000円~500,000円

4LDK以上

220,000円~


費用が変動する追加要素とは

上記の相場は基本料金であり、以下のような状況では追加料金が発生することがあります。

·        不用品の量:処分するものが極端に多い場合

·        貴重品の捜索:特定の貴重品を探す作業を依頼する場合

·        特殊清掃:孤独死などで汚れや臭いがひどい場合

·        車両費・駐車料金:トラックが近くに停められない場合

·        搬出経路:エレベーターがなく階段での搬出になる場合

·        オプション作業:エアコンの取り外しやハウスクリーニングなど

 


遺品整理の費用を安く抑える5つのコツ

大切な故人のための遺品整理ですが、費用はできるだけ抑えたいものです。ここでは、費用を安くするための5つのコツをご紹介します。


複数の業者から相見積もりを取る

最も効果的な方法の一つが、複数の業者から見積もりを取ることです。1社だけの見積もりでは、その金額が適正かどうか判断できません。最低でも2〜3社から相見積もりを取り、料金だけでなく、サービス内容や担当者の対応を比較検討しましょう。


自分でできる範囲の整理は進めておく

業者に依頼する前に、自分でできる範囲の片付けを進めておくだけでも、費用を抑えることにつながります。明らかに不要なゴミを分別して処分したり、残しておくものをまとめたりするだけでも、業者の作業時間を短縮でき、結果的に料金が安くなる可能性があります。



買取サービスを積極的に活用する

前述の通り、買取サービスは費用負担を軽減する有効な手段です。遺品整理業者に依頼するだけでなく、リサイクルショップや専門の買取業者に査定を依頼してみるのも良いでしょう。少しでも換金できそうなものは、諦めずに査定に出してみることをお勧めします。


遺品整理の繁忙期を避けて依頼する

引越しシーズンである3月〜4月や、年末の大掃除時期である12月は、遺品整理業者も繁忙期となります。この時期は料金が高めに設定されていたり、予約が取りにくかったりすることがあります。もしスケジュールに余裕があれば、これらの繁忙期を避けて依頼することで、費用を抑えられる可能性があります。



親の生前に整理について話し合っておく

これは事前の対策になりますが、「生前整理」について親子で話し合っておくことも非常に重要です。どこに何があるのか、何を処分して何を残してほしいのか、本人の意思を確認しておくだけで、残された家族の負担は精神的にも金銭的にも大きく軽減されます。

 


信頼できる遺品整理業者の選び方

数ある業者の中から、安心して任せられる優良な業者を選ぶためには、いくつかのポイントがあります。

チェック項目

確認するポイント

遺品整理士の在籍

専門知識を持ったスタッフがいるか

損害賠償保険の加入

万が一の事故への備えがあるか

見積書の明確さ

料金の内訳が詳細で分かりやすいか


遺品整理士が在籍しているか確認する

「遺品整理士」とは、遺品整理に関する専門的な知識やスキルを持つことを証明する民間資格です。[中優5] 資格を持つスタッフが在籍している業者は、遺品の取り扱いに関する知識が豊富で、法令を遵守した適切な対応が期待できます。業者選びの一つの判断基準とすると良いでしょう。


損害賠償保険に加入しているか確認する

遺品の搬出作業中などに、万が一家財や建物を傷つけてしまうリスクはゼロではありません。信頼できる業者は、そうした万一の事故に備えて「損害賠償保険」に加入しています保険に加入しているかどうかを事前に確認しておくと、安心して作業を任せることができます。


見積書の内訳が明確で分かりやすいか確認する

提示された見積書の内容をしっかりと確認しましょう。優良な業者の見積書は、「作業人件費」「車両費」「廃棄物処理費」など、何にいくらかかるのか内訳が明確に記載されています。「作業一式」といった曖昧な記載しかない場合は注意が必要です。不明な点があれば、契約前に必ず質問し、納得できる説明を求めましょう。

 


まとめ

遺品整理の費用は、原則として相続人が支払う義務を負います。相続人が複数いる場合は、全員でよく話し合い、誰がどのように負担するのかを決めることが、トラブルを避ける上で最も重要です。もしもの時に備え、この記事で解説した支払いパターンや注意点を参考に、円満な遺品整理を進めていきましょう。

ただし、費用負担の話し合いが整っても、実際の遺品整理の過程で多くの方が悩まれるのが、故人の想いが込められたお仏壇や位牌、遺影などの扱いです。

「供養が必要な品をどう処分すればいいのか分からない」「費用はかけられないが、粗末に扱うわけにもいかない」といった理由で、遺品整理が滞ってしまうケースも少なくありません。


「さくらサービス東京」では、そうしたお仏壇や位牌、遺影など、大切な品々の供養から処分までを一貫してサポートしております。提携寺院による丁寧な閉眼供養で心の負担を軽くし、全国対応の郵送サービスで遠方にお住まいの方のお悩みにもお応えいたします。

遺品整理における供養のことでお困りでしたら、ぜひ一度公式サイトをご覧ください。



遺品整理の供養ならさくらサービス東京

コメント


© 2025 sakuraservicetokyo. All Rights Reserved.

bottom of page