人が亡くなれば当然のように作られて祀られてきたお位牌ですが、承継者不在などの理由からその役割、必要性について悩む方が増えてきました。
又、身近に聞ける親戚や相談するお寺もなく、位牌が祀られた仏壇もたまの帰省時に実家で見ることはあっても中に何があるのか聞いたことは無く、親の持っている数本の位牌がだれのものかも知らないまま次の管理が自分達の番に回ってきた子供達の世代は、その役割や意味を知らないまま供養の継続に関心が薄く、又 礼拝対象の必要性について疑問を持っています。
今回は、お位牌の役割、意味などの視点から説明しますので、持ち続けるべきかどうかお悩みの方は判断にお役立てください。
そもそも位牌とは何か?
位牌とは故人の戒名や亡くなった年月日、俗名などを記した木の札のことです。
葬儀の時には祭壇に配し、葬儀の後は自宅やお寺に安置します。お坊さんの儀式によって故人の魂が位牌に込められます。先祖の霊を位牌に宿らせて手を合わせて礼拝する対象としたものです。
つまりお位牌とは『儀式で故人の魂をお祀りして、供養の対象として作る象徴』です。
位牌のルーツとその役割
位牌は遠い昔の中国から伝わってきたとされています。そのころ中国の儒教では先祖の官位や名前を「木簡(もっかん)」と呼ばれる木の板に書いてお祀りし供養したと伝えられていて、この「木簡」が位牌のルーツではないかと言われています。意外にも仏教(インド)がルーツではなく、儒教(中国)の影響を受けているそうです。
日本の禅宗僧侶が鎌倉時代に儒教の影響を受けてお位牌をお祀りする儀礼を始め、今の仏壇を家庭内に置くスタイルとともに江戸時代から庶民にも広まったのではないかと考えられています。
位牌には何が書いてある?
位牌には故人の戒名、俗名、亡年月日、亡くなった年齢などが記されています。
●戒名(法名、法号)
戒名とは亡くなったとき仏様の弟子になった証としてお寺からもらう死後の名前です。
戒名の付け方は宗派や故人の年齢、性別、社会的地位などによっても異なります。例えば社会的貢献度やお寺への貢献度が高い方には戒名の前に院号・院殿号といった称号があり、真言宗、日蓮宗、浄土宗では戒名の前に宗派を表す梵字・冠文字を入れるケースがあります。
●俗名(ぞくみょう)
生前に使用していた名前です。通常は戒名を表面に記して俗名は裏側に記されます。
●亡くなった年月日
昭和、平成などの元号を用いて記します。
●亡くなった年齢
数え年齢が一般的です。漢数字で記します。
白木位牌と本位牌の管理について
葬儀から四十九日までの間に仮に作る白木の位牌は、四十九日の忌明けに本位牌(ほんいはい)と入れ替えに処分されます。通常はお坊さん(又は葬儀屋さん)が持って帰ってくれます。
本位牌は、先祖の霊が宿り続ける限り供養し続けます。先祖代々から繋がる一族の魂は、一本の位牌に集約されながらその役目を終えていきます。つまり故人の新しいお位牌は、経年とともにご先祖様の魂に同化し、物理的な位牌もまとめられていく流れがあります。ですからお位牌は増え続けることはなく、区切りで先祖代々の1本に統合されていくのです。
その区切りのことを弔い上げと言います。
弔い上げと位牌の処分について〜弔い上げ・位牌の処分〜
弔い上げとは、最後に切り上げる年忌法要の最終回の行事のことです。年忌法要とは決められた節目の命日に行う特別な法要のことで、最初の年忌法要は命日の翌年に行う一周忌で、その後は2年目に三回忌、6年目に七回忌と、数十年にわたって続きます。目的は魂が極楽浄土へ向かうことができるように祈念し亡くなった方を偲ぶためです。このときに位牌の処分を行いますので弔い上げが位牌の処分の重要なタイミングになります。
弔い上げは何回忌までに開催すべきか
弔い上げは何回目までに行うと期限が決まっているわけではなく、この法事を最後にすると決めればその回の法事が“弔い上げ”となります。命日の32年目にあたる33回忌までというのが一般的な昔からの慣例です。
仏教では、三十三回忌や五十回忌を迎えれば魂は極楽浄土へ行くことが許されるという考え方で、なぜなら三十三回忌や五十回忌を迎える頃には魂が浄化されるからだとしています。この教えに則り、弔い上げも併せて執り行い、その後は、故人の魂は仏様となって、ご先祖様の霊と一緒になります。
但し現代の日本人の寿命は昔より長寿化しており、古い儀式のスタイルを継承するには親族の年齢の構成上難しい家族が増えてきています。たとえばおばあちゃんが80歳でなくなったとき、51歳の子供が法事を30年行うとするとおばあちゃんが亡くなった年齢を超えてしまうわけで身体的も何十年も法要を継続することは現実的ではありません。
法事を継続しにくい社会背景
近年の法要の開催状況は、高齢化社会を背景に開催する側も高齢化しているという状況に加えて、そもそも子供達は実家を離れて住んでいたり、親せきたちもバラバラに遠くに住んでいて法要で集まるのが難しかったりと昔と違って法要を決められた節目に継続して行うことができる家庭は少なくなっています。つまり三十三回忌や五十回忌まで継続しにくい社会背景や家庭の事情が増えた現代において、早めに法要を切り上げざるおえない状況になってきました。
弔い上げの時期は、早まっている傾向
弔い上げを開催するタイミングは所属する宗派や住んでいる場所、お墓のある寺によって違うと言われてきましたが、自分の生活環境に合わせて柔軟に適切なタイミングで執り行うようにするのが今の時代の流れになってきています。
具体的には早めに十七回忌を節目にして弔い上げを行うことも禁忌ではなりません。さらに十七回忌よりも早く行ったり、法事の節目ではないタイミングで弔い上げを行うことも最近では良くあります。
近年の弔い上げの流れ
弔い上げは他の年忌法要と違って特別な儀式が必要ですから、「開催を決めたらなるべく早めに準備するように」などとネット上などでは書かれていますが、お寺や慣習、シキタリなどに無理やり合わせずに、こちらの事情やペースで進めていく柔軟性が重要です。
昔はセレモニーホールを貸切ったり、弔い上げは寺院でないとできないという慣わしから、その予約や多人数の参加者に向けた案内や会食の準備が必要などという事情がありました。
最近では、法要の形式や流れは菩提寺と言われる担当のお寺の僧侶によって正しいスタイルに細かい違いはあるものの、そもそも菩提寺がないというかたも多くなり、菩提寺があっても遠いので連絡はするが法事の依頼ができないといったケースの方も少なくありません。
僧侶の派遣サービスなどで菩提寺でない僧侶に依頼して、お寺ではなく家に僧侶を招いて仏壇の前で弔い上げの読教をして頂くような法要も最近では多くなり、それが特別ではなくなってきています。
昔の法事はお寺で読教を聞いたあとにみんなで移動してお墓参りをして、その後大広間に移って盛大に会食をするような流れが一般的でした。亡くなった方の魂が極楽浄土へ向かったことをお祝いする行事ということで会食も精進料理ではなく魚や肉などを使った豪勢なごちそうを並べてお祝いしましょうという慣わしで、費用も何十万円もかけることもありました。
しかし近年開催される法事は、コロナ以降特にそうですが、特に都会ではこじんまりしたスタイルが主流となってきています。
位牌の片付けについて(処分の方法について)
弔い上げの際に行うこととして、戒名が書かれた位牌から先祖代々の位牌に魂を移します。亡くなった方の魂は先に仏様となっているご先祖様と一緒になり一緒に子孫を守る存在となります。そして魂が抜かれた今までの位牌は役割を終えて処分されます。
通常はお寺で燃やしてもらうお焚き上げ供養という方法で片付けられてきました。
という訳で、弔い上げのタイミングで処分すべきお位牌が、片付けるタイミングを逸して手元に残っているケースが多くなってしまっています。つまり位牌の処分に困っているという承継者が増えているということです。
処分のために法事を行うということもそもそもできませんし、お位牌をどのようにかたずけたら良いのかという情報も入手しにくい現状です。そこで次のような位牌の処分の方法を紹介します。
位牌の処分方法。寺院以外に依頼する先は?
位牌の魂抜きは、お墓があるお寺(菩提寺)やお付き合いのあるお寺にお願いするのが一番お勧めなのです。それは長年のお付き合いとかお寺との信頼関係を前提にしたときのお話です。そもそも菩提寺がない、遠い、疎遠になった、相談に乗ってくれない、などというケースの場合にはどこに依頼すれば良いのでしょうか。又、弔い上げが終わっているかどうかも不明なお位牌も同様です。
お寺に相談できない場合は、仏具店や葬儀社でも位牌の処分の相談はできますが、先に魂抜きをするように言われる場合が殆どです。
お寺(菩提寺)が無く魂抜きやお焚き上げを依頼できない、あるいは供養がされているかどうかも不明なお位牌を持っている・・・など、きっちり供養して処分する先を探している、という方にお薦めなのが弔い上げと魂抜きの儀式を合同で行って適切に処分してくれる業者です。
供養と処分をお寺と提携して正しく行うことで、菩提寺がなくて供養先を探せなかったご家族のお位牌を、供養から処分まで一括して請け負ってくれるので安心です。
料金について
お寺で魂抜きを依頼するとお布施が必要となり相場は1柱5,000円から30,000円と言ったところでしょうか。お寺や僧侶の位や、考え方や地域によってかなり幅があります。
供養と処分を請け負う業者の場合も、引取り方法(出張や郵送等)や供養と処分の方法がいろいろあって、料金も1柱3,000円から15,000円まで幅がありますので、内容をよく確認して依頼されることをお勧めします。
まとめ
ご先祖様のお位牌は、弔い上げのタイミングで処分される。
弔い上げとは、年忌法要を最後に切り上げる最終回の行事のこと。
弔い上げは早めに切り上げることができ、そのタイミングで位牌の片付けが可能。
位牌の片付けは通常お焚き上げ(焼却して供養)するのが一般的。
位牌の処分のために早めに弔い上げを行ってお焚き上げして片付けることもできる。
菩提寺に弔い上げを依頼しない場合や由緒不明なお位牌などの処分も業者に依頼できる。
「弔い上げを行わないで位牌が片付けられる業者」のご紹介↓↓↓
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合同供養の様子(2024年4月)
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